午前1時のシーフードヌードル
霜月このは
午前1時のシーフードヌードル
わたしの病室は寒い。夜中に目を覚ますといつも震えてしまうくらいだから、お手洗いに寄った後で食堂にお湯を飲みに行くのが習慣だった。
今日もいつものようにしばらくお湯を飲んで食堂で温まったら、帰ろうと思っていたんだけど、ちょっと小腹が空いたものだから、こっそりあるものを準備していた。
だけど、2杯目のお湯を取りに給湯器まで行った時だった。
彼が、いた。
給湯器のお湯のボタンに、ちょっと伸びをしながら手を伸ばして、シーフードヌードルにお湯を入れているところだった。
「「あ」」
思わず、声が重なって、笑い合った。
わたしが持っていたのもシーフードヌードル。それを選んだのは、彼が前に好きだって言ってたから。
車椅子のタイヤをきゅ、と鳴らしてターンして、彼はいつもの定位置に。
わたしも続いてお湯を入れて。
でも、ナースステーションから見えないように、少し離れた位置に座った。
おしゃべりなんかしたら、きっと見つかって怒られてしまいそうだし。
シーフードのスープが香る。
横から聞こえるのは、麺を啜る音と、息づかいだけ。
彼は最後のスープまで飲み干すと、おやすみも言わずに、さっさと病室へ帰ってしまった。
(おやすみ)
心の中でそう呟いて、わたしも食堂を後にした。
明日の朝ごはんは、あまり食べられないかもしれない。
だってこんな時間に、お腹も胸の中も、いっぱいになってしまったのだから。
午前1時のシーフードヌードル 霜月このは @konoha_nov
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