第28話 英雄を壊す方法
最初の、
異変は、
小さな、
記事だった。
朝刊の、
片隅。
「剣神、
介入遅れで、
被害拡大か」
写真は、
夜の、
瓦礫。
倒壊した、
建物。
泣き叫ぶ、
人々。
だが、
剣神の、
姿は、
どこにも、
ない。
ホテルの、
部屋。
さなえは、
端末を、
見つめていた。
「……行って、
いません」
「要請も、
なかった」
レーシャが、
腕を、
組む。
「それが、
狙いよ」
「呼ばれなかった、
事実は、
書かれない」
「来なかった、
印象だけが、
残る」
次の日。
別の、
ニュース。
「剣神、
被害地域に、
入るも、
戦闘回避」
「住民は、
不安を、
訴える」
さなえは、
唇を、
噛んだ。
「……回避した、
理由は」
「説明されて、
いない」
事実。
現場には、
爆発性の、
罠。
一般人が、
近くに、
いた。
剣を、
振れば、
巻き込む。
だから、
退いた。
だが、
記事は、
書かない。
午後。
桐生が、
訪れる。
顔は、
険しい。
「世論が、
動き始めた」
「剣神は、
万能では、
ない」
「むしろ、
危険だと、
言う声が、
増えている」
「……計画、
オルフェウス」
さなえは、
呟いた。
「はい」
「英雄を、
壊す、
手順が、
見えてきた」
夜。
突然の、
警報。
市街地。
ダンジョン、
ブレイク。
地上に、
出現した、
亀裂。
「今回は、
正式要請、
ありです」
桐生の、
声。
「行けますか」
「……行きます」
現場。
炎。
悲鳴。
モンスターは、
中型。
数は、
多い。
さなえは、
一歩、
前に、
出る。
剣を、
抜く。
「――来る」
その瞬間。
銃声。
別方向から。
「……?」
モンスターが、
暴れる。
弾丸が、
建物に、
当たる。
人が、
倒れる。
「誰が、
撃ってる……」
レーシャが、
叫ぶ。
「違う、
部隊よ!」
「誘導、
されてる!」
通信が、
乱れる。
さなえは、
歯を、
食いしばった。
剣を、
振るえば、
流れ弾が、
増える。
振るわなければ、
被害が、
出る。
――選べ。
誰かの、
意図が、
透けて、
見えた。
「……私が、
止める」
さなえは、
剣を、
構えた。
最小限。
踏み込み。
一閃。
音が、
遅れて、
届く。
モンスターは、
倒れた。
だが――
悲鳴。
倒れた、
人。
血。
「……間に、
合わなかった」
現場は、
混乱。
その夜。
速報。
「剣神、
戦闘中、
市民に、
被害」
映像は、
切り取られて、
いた。
剣を、
振るう、
瞬間だけ。
結果だけ。
理由は、
映らない。
ホテル。
さなえは、
立ったまま、
動けなかった。
「……これが」
「英雄を、
壊す、
方法」
レーシャが、
静かに、
言う。
「力を、
使わせて、
責任を、
押しつける」
「使わなければ、
臆病者」
「使えば、
危険人物」
「どちらでも、
叩ける」
さなえは、
拳を、
震わせた。
「……それでも」
「私は、
剣を、
捨てません」
「ええ」
レーシャは、
微笑む。
「だから、
次は、
彼らが、
焦る」
窓の外。
夜の、
街。
誰かが、
仕組んだ、
戦場。
だが、
剣神は、
まだ、
折れていない。
折れるのは、
覚悟の、
ない、
刃だけ。
三橋さなえは、
剣を、
見つめる。
「……次は、
守りきる」
言葉は、
静か。
だが、
決意は、
揺るがない。
戦いは、
次の、
段階へ、
進んだ。
英雄を、
壊す、
ための、
舞台は、
整った。
だが――
剣神が、
折れるとは、
誰も、
決めていない。
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