第7話

「未確認エリアに入って大分経つけど、何もないね?」


「まあ、今ん所はな……あん? これは隠し扉か?」


 燈里とうりが壁を調べ、隠し扉を開けると、荘厳な神殿の様な空間が広がっていた。


『おい、奥に光っているのお宝じゃねえか? 行くぞ、お前等!』


「あ、待ちなさい! 安全確認が先です!」


 そう制止する香織かおりを尻目に同道していた冒険者達が何かに魅入られる様に奥へ奥へと進んで行ったその直後――


「ぎゃああ!」「ぐうぇ!」


 広間の奥が惨劇の場と化していた。


「なんだ、あれは? コボルトなのか?

 腕か六本あるぞ?」


「チッ、やっぱいるじゃねえか、特異体イレギュラーがよ! どうする!?」


「ここで、逃げても追い付かれる可能性があるし、彼等が全滅したら折角の手数も失う事になる! 皆、やるぞ!」


「やっぱ優樹おまえはそう言うよな!


 おい、お前等! 援護するから其奴と距離を取れ!」


「いくぞ、りん! 雷撃ライトニング!」

「うん、炎弾ファイヤバレット!」


「遠距離いける奴はチクチクでいいから彼奴を当てろ!


 タンクが奴の攻撃を凌いでいる間に奴の足か腕を狙っていけ!


 花室、お前は俺達のフォローはせずにデカいの準備しとけ!


 優樹、後の事を気にせずお前もアレの準備を!」


 燈里の指示で即席のレイド戦が始まる。


 優樹と香織は詠唱を始める。


 しかし、所詮は即席のレイドパーティー。

 力の無い者から体を裂かれ、潰され、命を散らして行く。


 更に特異体イレギュラーは手にしている魔法武器マジックウェポンから大きな炎弾を放ち、離れていた者達をも焼き尽くして行く。


 気付けば生きをしているのは優樹ゆうき立ち合いだけになっていた。


 しかし、人手が減り、一身に特異体イレギュラーの攻撃を凌ぎ、防いでいる藤吾とうごにも限界が近付く……。


「ぐお!?」


 特異体イレギュラーの横撃に耐えきれず遠くの壁まで吹き飛ばされる藤吾。


百海どうかい! クソッ、凛、小さいので良いから奴の顔辺りを攻撃しろ、奴はオレが凌ぐ!」


「そんな、ナイフであんなのと戦うなんて無茶だよ燈里さん!」


「るせえっ! 二人の準備が整うまで持ちこ堪えなきゃ、オレ達は終わりだっ!

 やるしかねえんだよっ!」


「――解った!」


「ほら、犬っころ! 今度はオレが相手だ!

 舐めんじゃねえぞ、ゴラァ!」



 燈里は革製の袋を特異体イレギュラーの顔目掛けて投げつけるが、特異体イレギュラーの鋭い爪であっさりと袋は切り裂かれる。


 が、裂かれた袋から大量の粉末が特異体イレギュラーの顔にかかる。


「グガアアア!」


「どうだ、犬っころ? オレの特製スパイスはさぞかし、お前の鼻には効くだろうよ!


 凛、どんどん撃て!

 こいつを抑えるん…………だ?」


「燈里さん!」

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