みんな口だけで

anko

この世界で1人だけ

 僕は、この世界が嫌いだ。みんな、気味の悪い笑みを浮かべて、はぐれ者の僕を嘲るように見る。


 そんなのは被害妄想だと言う輩がいるが、それは僕のことをちゃんと見ていないのだろう。

 僕はこんなクソみたいな世界でただ一人、健気に生き続けているのだ。常人なら耐えられないだろう。尤も、この世界にまだ僕みたいな常人がのこっていればの話だが。


 ◇


 教室に入る。みんな口だけで、心の底では何とも思ってないくせに、無意味な会話を繰り返す。何を言ってるのか僕にはほとんど理解出来ない。みんな僕のことなんか見ていないはずなのに、不気味な視線を感じて気が狂いそうだ。


 「やあ、A君。おはよう」

 

 隣の席のFが僕に声をかけてくる。彼が毎日しつこく声をかけてくるせいで、すっかりこの流れにも慣れてしまった。


 「僕に話しかけないでくれ。」


 そうやって、毎日決まった返事をする。ときどき僕が何なのか分からなくなってくる。もう僕は彼らの中に引きずり込まれているのかもしれない。


 それでも僕は希望を失わず、探し続ける。僕のような、ちゃんとした人間を。


 「◯?□▲✕」


 Fが何やら僕に話しかけて来るが、何を言ってるのかよく聞き取れない。きっと答える必要のないことなので無視をする。


 彼らが何のためにこんなことをするのか、さっぱり検討がつかない。みんな、化け物だ。人の形をしていても、それは人じゃない。


 だって、彼らの顔には




 


 口しかないのだから


 

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みんな口だけで anko @anko110

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