レベル∞転生者、ヤンデレ悪魔と女神を従えて無双

てててんぐ

第1話 転生したらレベルが表示されなかった

――死んだ、らしい。


トラックに轢かれた感覚はなかったが、

次の瞬間、俺は真っ白な空間に立っていた。


「ようこそ、選ばれし魂よ」


光の中から現れたのは、

テンプレ通りの女神だった。


世界を救え?

魔王を倒せ?

話は短く、正直どうでもよかった。


「では、転生後のステータスを確認しましょう」


目の前に、青いウィンドウが開く。


名前:黒瀬レイ

種族:人間

職業:未設定


そして――


レベル:表示不能


「……え?」


女神の声が、初めて詰まった。


「測定エラー? いえ、そんなはず……」


魔力、体力、敏捷、運。

次々と表示される数値は、すべて――∞。


「こ、これは……」


女神の笑顔が、わずかに引きつる。


その瞬間だった。


空間が、悲鳴を上げるように歪んだ。


黒い裂け目が開き、

粘つくような魔力と共に“何か”が落ちてくる。


「――召喚事故!?」


現れたのは、少女の姿をした悪魔だった。

小柄で、黒い翼と角を持ち、

だが放つ圧は、明らかに最上位。


「人間……? いえ……違う」


赤い瞳が、俺を捉える。


次の瞬間、悪魔は動いた。

空気が弾け、殺意が突き刺さる。


――が。


気づけば、俺の手は

悪魔の喉を掴んでいた。


力を入れた覚えはない。

ただ、触れただけだ。


骨の砕ける感触。

悪魔の身体が床に叩きつけられる。


「……は?」


悪魔は、逃げなかった。


むしろ、

その顔に浮かんだのは――恍惚。


「すごい……」


震える声で、彼女は笑った。


「私を、一瞬で……」


ゆっくりと立ち上がり、

血を流しながら、こちらへ歩いてくる。


「ねえ」


距離は、もう指先が触れるほど。


「あなた、私を壊せるでしょ?」


背筋に、ぞくりとしたものが走る。


「……私を殺せるのは、あなただけ」


悪魔は、跪いた。


「だから――全部、あげる」


魔力が、雪崩のように流れ込んでくる。


【契約成立】


頭の中に、無機質な声が響いた。


女神が、後ずさる。


「ち、違う……こんなはずじゃ……」


俺のステータス画面が、再び開いた。


従属存在:悪魔(リリス)


リリスは顔を上げ、

潤んだ瞳で俺を見つめる。


「ご主人様」


その笑顔は、

愛と狂気が、完璧に混ざり合っていた。


――理解した。


この世界では、

俺は強すぎる。


そしてたぶん、

これから先、好かれた相手は全員――壊れる。


「……面倒な世界だな」


そう呟いた俺の背後で、

女神が震えながら、こちらを見ていた。


その視線が、

恐怖から、執着へと変わるのを。


この時の俺は、まだ知らなかった。


世界最初のヤンデレは、

すでに二人目が生まれていたことを。

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2026年1月20日 20:00
2026年1月21日 20:00
2026年1月22日 20:00

レベル∞転生者、ヤンデレ悪魔と女神を従えて無双 てててんぐ @Tetetengu

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