山手線のモノリス

perchin

山手線のモノリス

 ある月曜日の朝。

 山手線の新橋駅と浜松町駅の間の線路上に、突如として巨大な黒い直方体――「モノリス」が出現した。

 高さは東京タワー並み、厚さは電車の車幅ほど。

 漆黒の表面は光を一切反射せず、ただそこにあるだけで圧倒的な威圧感を放っていた。

 首都圏の交通網は一瞬のうちに麻痺した。

 JRは全線運休。私鉄各社も安全確認のために停止。

 テレビは連日特番を組み、政府は緊急事態宣言を発令し、会社も学校も休みになった。

 人々は自宅で固唾を飲んだ。

 

 果たして、モノリスは何のために現れたのか。

 宇宙からのメッセージか。神の啓示か。悪魔の審判か。

 それとも、敵対国の秘密兵器か。

 科学者たちは頭を抱え、宗教家たちは祈りを捧げた。

 人類に変革が起きる。何かが変わる。誰もがそう予感し、震えた。

 

 一週間が経った。

 ただ、通勤ルートが少し変わっただけだった。

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