平凡な事務官は、騎士団長を甘やかしたい
@96maggy
第1話 平凡な事務官 ルッツ
平凡な事務官は、騎士団長を甘やかしたい
人には、向き不向きと言うものがある。
僕には、恋愛の適性が無かった。
人を可愛いとか愛おしいと思った事がなかった。
美醜の面で整っていて『可愛い』とかは分かる。
美的感覚は普通にあるからね。
小さな生き物を見ても『可愛い』とは思わない。
触ったら壊しそうとか、どう動くか分からなくて怖いの方が勝った。
少なくとも…彼に出会うまでは、そうだった。
僕の太腿に頭を乗せて寝転ぶ彼の頭をゆっくり撫でる。
嬉しそうに、くすぐったそうに笑う彼に「可愛い」と囁けば、ボン!と音がしそうなほど真っ赤になって見上げてくる。
「ふふ、真っ赤だ。」
少し熱い頬を撫でる。
彼の凛々しい目が潤み、引き結んでいた唇が震える。
「どうしたの?」
と聞けば言葉にならないのか視線を彷徨わすだけ。
ゆっくり顔を近づければギュッと目を瞑られる。
彼の凛々しく高い鼻先をカプリと喰む。
「っ!?」
パチリと開いた目の驚きの色を見て
「そんな顔してると…食べちゃうよ?」
口元が緩むのを抑えられ無かった。
*
僕が本当の彼を知ったのは、資料室で調べ物をしていた彼を偶然手伝ったあの日。
落雷の轟音に彼の呼吸が乱れ、自分の腕を強く握っていた。暗くて良く見えないが彼の顔色が悪い。
気づけば身体が動いていた。
椅子に座る彼を胸に抱きしめ「大丈夫…僕がいるよ。怖くない。」と背をあやすように叩いた。
ゆっくりと腕を掴んでいた手が動き背に回り、服を掴まれる。
体格は大きいのに小さな子みたいだ。
しばらくして、落ち着いたのか、縋りつく手が緩み、胸元から頭が離れる。
「落ち着きましたか?団長。」
「…ああ。みっともない所を見せたな。ルッツ事務官。」
「フフッ、団長の人間味があるトコを見れて得した気分ですよ?」
「ぐっ…こ、この事は、どうか、他言無用で頼む。」
「当たり前じゃないですか」と返せば彼は不安そうな顔で見上げてくる。
「貴方のこんな可愛い顔、他の奴に見せてたまるもんですか。」
彼の頬を撫でてそう囁けば、彼の頬が真っ赤になる。
「…なっ、なに、をっ」
百戦錬磨、騎士中の騎士、武人の鑑。そう褒め称えられる彼の、こんな初心な姿が___どうしようもなく、愛おしい。
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