第2話 つれずれなるままに ガラスペンの前で
つれずれなるままに日暮 硯の前で……
吉田兼好の徒然草のオープニング。
この状況を想像して、自分と重なるような気がした。
私が前にしていたのはガラスペンだったけれど。
硯に水を入れて墨をすって、好みの黒にして毛筆で字を書くことを考えたら、随筆を書くために面倒くさいことをしていたのだなと……。現在なら日記帳にシャーペンやらボールペンやら簡単な筆記用具を使えばすぐに書ける。
それなのになぜガラスペンで日記を書いているのだろう。
しかも天使のガラスペン。
天使が好きである。
背中に白い羽が生えていて、白っぽい服を着て金色の髪をして天使のわっかがついていてキラキラしている天使が好き。
綺麗だから。
本屋でエンジェルダイアリーというものを見つけて、ここ数年使っている。去年の9月に次の年、2026年のを買おうとネットで調べたら、日記帳と天使のガラスペンがセットになっているものを発見した。
ペンに羽が生えていた。
透明な羽が。
これ、どうやって使うんだ?
けっこう大きめな羽。ペンの半分くらいの大きさの羽が二枚で、こんなのついてたら文字なんて書けない。
だがしかしガラスなのだ。
きらきらなのだ。
しかも、限定の金色ミカエルなエンジェルダイアリーは通販でしか買えない。
大天使ミカエル。有名な四大天使。
炎の天使ですっごく強い。天使の大群を引き連れて悪魔と戦ってしまうほど強い。剣を持っているイラストが多くあるような気がする。でも天使は見えないからイメージ。
見えたらきっとキラキラだろう。
炎をまとったきらきら天使……。
日曜日に生まれたのでミカエルとは縁がある。
大好きな大天使ミカエルのゴールドバージョン。
めったに通販で買わないのだがぽちっと予約。日記帳だけでなく、ガラスペンのセットで。
後日届く。というかすぐに届いた。
早すぎだろう? というくら早く届いた。来年の日記帳が9月に届いた。
幸せだった。嬉しかった。やっぱりミカエルは私のところに来たかったんだねと勝手に思った。
ミカエルの日記帳は言うまでもなく、キラキラ透明なガラスペンにも見惚れた。
一体化しているのかと思ったガラスの羽はペンレストというペンを置く物だった(ペンにガラスの羽が付いていたら、綺麗だけど使いづらい)。ペンの箸置きのような物で、ペンで文字を書いてペンを置くときにそこへ乗せる。
するとペンに羽が生える。
透明なガラスのペンに透明なガラスの羽根が。
ガラスペンはインクを付けて使う。
インクも付属していたがよくわからないのでネットで調べる。インクを付けて、書けば良いらしい。そのままだが緊張した。ガラスだし割りそうで怖い。水とティッシュも用意する。
いざ、使う。
よい。
ガラスペンを使ってカードを書いて2025年のエンジェルダイアリーにすぐに使った。他に書く物が思い浮かばなかった。
すると、エンジェルダイアリーには天使のガラスペンしか使ってはいけないような気になってしまい、さらに日記を書かなくなった。
ガラスペン、非常に良いのだが準備に時間がかかる。慣れていないからか手も汚れる。しかも壊さないように気を遣うので神経も磨り減る。
でも使いたい。見たい。触りたい。
時間がある時、気持ちに余裕がある時と思っていたら、日記を書かなくなってしまった。
本末転倒とはこのことか?
吉田兼好の『硯』の文字を見た時、めんどくさそうだと思ったら自分の状態と同じような気がした。でも、吉田兼好はちゃんと徒然草を書いているわけだから同じではない。まったくもって同じではない。
ただガラスペンは良い。
書き心地もよい。
だから、二週間分くらいまとめて書いている。
どうして小学生の頃は毎日書けていたのだろう。
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