正世界
渡瀬玲
第1話
あれからどれだけ月日が流れたのだろうか
彼らは、本当にこれでよかったのだろうか
そんなことはわからない
私は良かったと思っている
第一章 はじまり
西暦2500年人類は危機的状況にあった
環境破壊と気候変動で食料は尽きはじめ
あらゆる生き物が食料に奪い合い、争いを起こし
インフラは謎のネットワークウイルス侵され
機能が正常にできない状況が続いていた
少子化の問題もあり、人類は300年ほど前からAI管理のもと
人工授精で人類を増やし、全ての管理をAIに任せていた
「あぁ、今日ちゃんと機能していないし、35番地で旧地球人が1体死んでいるよ」
あるAIの施設で育った涼だ。
涼(りょう)は人工受精で生まれた子で、新地球人でAI No.754に育てられている
涼がいる施設はAIの管理のもと、生命維持に必要な全てが揃っている
外の世界の管理もしている
世界は荒れ果てていた。
ただ、それで困っている者はこの施設には1人もいない
むしろそうなる状況を管理しているのだ。
涼「早くいろいろ調整しないと、時間がかかりすぎるし
その前に地球がダメになってしまうかもしれないな」
施設の中に残っている人類には何人か新地球人がいて
その中の1人が涼である。
涼「そろそろ散歩に行ってこようと思う。その間管理を頼むNo.754」
754「承知した。涼」
涼は外に防護服とガスマスクと大きなリュックを担いで出た。
空気は汚染レベルが高く、植物も数が減ってしまい浄化もできないのだ。
涼「外の空気は美味しくないが、気分転換にはなる。」
歩いて周りを見ながら歩き進める
外の世界の生き残った旧地球人たちがうずくまったり、倒れたりしている
白骨化した動物の死骸もごろごろ、石ころのように落ちている
涼「かなり荒れたな、、、でも仕方ないことだ。この状況を作ったのは
誰でもない旧地球人自身なのだから」
自分も同じ人間であることは考えないようにしている
涼「自分は選ばれし者なのだ、、、、やつらとは違う」
しばらく歩いていくと、
一人の旧地球人の少年が小さな生き物を抱きしめて立っている
涼「何をしているんだ」
少年「あぁ、、大切な家族が長い眠りについてしまって、、これから
どこで埋葬してあげようか考えていたんだ」
涼「埋葬、、、?その持っているものは死骸だな?
はやく処分したほうが身のためだな、どんなウイルスが
いるかもわからないからな」
少年「処分って、、、まるで物みたいな言い方だな。
僕にとっては人生の一部で大切な存在だったんだ
思い出もたくさんあるし、最後までちゃんと大切に
してあげたいんだ、、、」
涼「そうか、、、私にはそういう経験がないから
全く理解できないが、君がそうしたいならそうすればいい
ちゃんと処分するんだぞ、お前名前は?」
蒼太「蒼太(そうた)だ」
涼「蒼太ちゃんと処理するんだぞ、また確認しにくるからな、じゃあな」
蒼太「はぁ、、、やな感じだな、、あの施設の奴らわ。。。」
そのまま涼は静かにさっていった。
これが二人の出会いであった。
蒼太は一人黙々と穴を掘っていた
蒼太「僕のかわいいRio、本当にありがとう、君のおかげで僕の
人生は明るく華やかなものになった。感謝しかないよ。
また会おうね」
そういいながら、その小さな猫を埋めた。
蒼太の両親は幼い頃に徴兵で連れて行かれてしまい、今は一人で生活している
両親がどうなってしまったのかは、何もわからない
蒼太「昔じいちゃんがよく戦争の話をしてくれたな。まさか自分の親が
戦争に行ってしまい会えないなんて、考えてもいなかった。」
本当の一人になってしまった。これからどうしようか。
蒼太「Rioも逝ってしまったし、もうどうでもいいなぁ全部どうでもいい」
蒼太が空を見上げていると、近くで何かが光った。
蒼太「なんだ今のは?」
光った方向に走る蒼太
しばらく歩くと、小さな洞穴を見つける
蒼太「なんだろう。。。これは」
中からは不思議な空気を感じる
だが、今の蒼太には怖いものなどなにもないのだ
まるで誰かに呼ばれるように蒼太は入る
蒼太「不思議な穴だな、、、別の違う世界にいけちゃったりして」
その時、洞穴はピカっと光った
蒼太「うわ!!!!」
気を失う蒼太、、、、
数分後、、目を覚すと同じ洞穴で寝転がっていた
蒼太「なんだったんだろう、、、、」
洞穴を出ると、何かがおかしい
蒼太「どこだ、ここは、、、、」
振り返ると大きなビル群に
たくさんの行き交う人々
目が回りそうなくらいの全然違う世界が広がっていた
蒼太「これは夢??夢にしてはできすぎているが、多分Rioとのお別れで
ショックを受けていたから、とんでもない夢を見ているらしい」
人が近づいてくる気配を感じる
振り返ると、さっき会った施設の人間にそっくりな人が目の前にいる
似ている人「どうかしたのですか?道に迷った?」
その人は、顔は似ているが、雰囲気がどこか柔らかかった。
蒼太の頭の中「さっきのやつじゃないか!」
蒼太「やあ、ちょっと道に迷ったのと、頭をぶつけたみたいで
ここがどこなのかわからなくなってしまっていて笑」
似ている人「そうなんですか。。。大丈夫ですか?病院に行きますか?」
蒼太「病院、、、病院やっているんですか?」
似ている人「病院がやっているか?病院なんてたくさんありますよ笑
なんか様子おかしいので病院行きましょう!案内しますよ」
蒼太「ありがとうございます。。。僕がいた場所では病院はもう廃墟になっていて
かれこれ5年くらいは病院に行ってないですね」
似ている人「えぇ!!!すごく大変な場所にいたみたいですね、、、
一応お尋ねしますが、お名前は?」
蒼太「蒼太です。そうた」
似ている人「蒼太さんですか。昔知り合いに同じ名前の蒼太という子が
友達でいて、そしてどことなく似ているような、、すごく懐かしい気持ちになりました。。
私の名前は「サイです」」
蒼太「サイさんですか、、、知り合いにとても似ている人がいるので不思議な気分です」
サイ「そうですか!昔から知り合いだったりして、、、笑」
蒼太「サイさんの知り合いの蒼太さんは今何しているのですか」
サイ「、、、、、15年ほど前に事故で亡くなりました。」
蒼太「そうですか、、、思い出させて申し訳ないです。」
サイ「いえいえ、とてもいい子でしたよ。蒼太さん病院につきました!」
目の前に聳え立つ真っ白な大きな病院が現れた
蒼太「とても大きい病院だ、、、城みたい、、」
サイ「蒼太さん入って右に受付があります。私は別で用事があるので
もし困ったことがあったら、こちらに連絡ください」
蒼太に一枚のメモが渡される
サイ「じゃあまた!」
病院の中に入っていく蒼太
蒼太「すみません、頭をぶつけてしまったみたいで、自分がどこにいるのか
わからなくなってしまいまして」
受付ロボット「それは大変です!すぐに診察、検査ご案内しますので
10番の診察室まですぐに行ってください」
蒼太「はい、ありがとうございます」
蒼太が診察室に入ると、一人の医者が座っていた。
よく見るとその医者の椅子の下に管が何本か見え、それは医者の背中に
くっついていた。何かの道具なのだろうか、、、
そんなことより、状況説明だ。
医者の前に座り、ここに来るまでに起きたことを全て話した。
医者「洞穴に入ってみたら、いきなり意識を失って倒れた!?
その洞穴はどこにあるんです?何か有毒なガスがでているかもしれないな」
蒼太「ここから歩いてすぐのところにあります」
医者「頭のシステムに異常がないかなど、検査をしましょうか?
少々お値段がするので、一応意識もはっきりされてそうですし
希望あれば行いますが、どうされますか?」
蒼太「システム、、、、?(お値段?お金なんて持ってないぞ、、!)
なんだか大丈夫になってきたので検査は大丈夫です!ありがとうございます!」
数分後、警察が到着し蒼太と一緒に洞穴に向かった
警察「どの辺りですか?その洞穴ってのは」
蒼太「確かこのあたりに、、、!?」
警察「このコンクリートの壁ですか?穴が空いていた形跡などはないけど」
蒼太「あれ、、、ちょっと忘れてしまいました。。。」
警察「ええ!そんなの困りますよ!大丈夫ですか?」
蒼太「はい、、すみません、、、ご迷惑おかけしました。。」
警察「そうですか、、、病院には私から伝えますが、何か異変があったらまた
病院でみてもらってくださいね」
蒼太「はい、ありがとうございます。。」
警察官たちは去っていった。
蒼太「ちょっと待てよ、、これ夢じゃないかもしれないぞ、、、」
ポケットに手をいれると、サイに貰ったメモが
蒼太「電話番号が書いてあるけど、電話がない、、、、」
そう、蒼太のいる世界では誰もスマートフォンなど持っていないのだ。
自給自足の生活をし、文明は完全に停止していたのだ。
蒼太「やばいな、、帰る場所もなければ、そもそもここはどこなんだ。。。。」
歩き始める蒼太、周りの風景に目が慣れない。
お金もなければ、電話もない。
蒼太「どうしたら元の世界に戻れるんだ?」
しばらく歩いていると
歩道橋の上で下を見ながらブツブツ独り言を言っている女性をみつけた。
蒼太の心の中「この人何をしようとしているんだ。。。まさか飛び降りる気なのか!?」
急足で女性のもとに向かう蒼太
蒼太「すみません!」
女性「はい?なんですか?」
蒼太「なんか下を見ているのが危ないと思ったので声かけました!
何をしているんですか!?」
女性「あぁ、、、ただ下の電車を見ているだけですよ。」
蒼太「そうですか、、あまり前に乗り出すと危ないので気をつけてくださいね」
女性「ありがとう」
その時だった、女性は歩道橋によじ登り飛び降りた
蒼太「うそだろ!!!」
急いで近づくと下から叫び声が聞こえる
女性「いやああ!なんで死なせてくれないの!!!!私は死にたいのよ!!!」
下を見てみると、大きなドローンと男性2人が女性を捕まえている
男性1「危なかったですね、もう大丈夫ですよ、電源を切ります。修理にご案内します。」
蒼太「電源だと、、、、」
女性「やめてやめて!やめ、、、て、、、」
なんとその女性はロボットだったのである。
男性2「最近はロボットの自壊が増えてきていて困ったもんだよ。GPSで所在がすぐ
わかるからすぐ止めるけどさ」
男性1「ほんとだよ、このロボットも人間化しすぎたらしい。
工場に持っていって修理してもらおう。どうやらベビーシッターロボットのようだ。」
男性2「感情があることは温かくていいことだけど、負の感情も生まれることもあるから、感情があるというのもいいんだか悪いんだか。まあ俺たちもロボットだけどなハハハ」
そのまま去っていく男たちを見る蒼太
蒼太「なんだこの世界は、、、ロボットが自殺、いや自壊だと、、、僕がいた世界では
AIは存在していたけどロボットがこんなにたくさんはいなかった。」
蒼太「待てよ、、、この世界にいる人間だと思っている人々はもしかしてみんなロボットなのか」
しばらく歩くと古びた電話と偶然にも落ちている硬貨があり
サイに電話をかける
サイ「はい」
蒼太「サイ!サイだよな!?さっきは病院までありがとう!これから会えないかな?」
サイ「おお蒼太か!体は大丈夫か?今渋谷にいるんだけど、蒼太はどこにいる?」
蒼太「渋谷!???」
あたりを見渡す蒼太、よく見ると建物や店は違うがそこは原宿だった
サイ「渋谷だけどどうしたんだい?君はどこにいるんだい?」
蒼太「僕は原宿にいる!申し訳ないのだけど僕はお金を一円も持っていないんだ
わけは会った時に話すよ」
サイ「わかった、、、!今から原宿に向かうよ!」
蒼太は気づいた。ここは東京なのだ。自分が洞穴に入る前にいた場所も
原宿だった場所だったのだ。
正世界 渡瀬玲 @watase_00
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。正世界の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます