二十四時を越えた世界の設定がとにかく鮮やかで、「夜に選ばれた存在」たちの時間がこんなにも優しく、切なく描かれるのかと驚かされました。
猫と鬼だけが歩ける赤い夜は、ふわっと甘いのにどこか切なくて、読んでいてまるで夢の奥に迷い込んだみたいでした。明良とつむぎのやり取りはあったかいのに、その裏側に昼の世界との断絶が静かに横たわっていて、優しさと孤独が同時に沁みてきます。鬼として生きるという運命が、罰ではなく「奉納」として描かれているのも印象的で、静けさの中に大きな愛が流れているようでした。会話は軽やかで笑えるのに、その裏にある切なさや執着がじわじわと滲み、読み進めるほど心を掴まれます。
BL風味とありますが、関係性の描写が丁寧なので、ジャンルを越えて楽しめると思います。読み終えたあと、自分にも「二十五時」があったら何を捧げるだろうと考えさせてくれる、そんな余韻を残してくれる物語でした。