オークが姫騎士くっころする薄い本でテクノブレイクしたら、異世界転生した件〜憧れのオークになったけど、なんだかちょっと違う〜

辺根除音

第1話 賢者タイムかと思ったら、異世界だった

 大いなる満足感から覚めて、冷静さを取り戻したら異世界にいた。

 気がついたらオークである。名前はまだ無い?


 薄暗い洞窟の片隅で、申し訳程度の枯れ草の上でオークの子どもたちが寝そべっている。オレもさっきはあそこにいて、ションベンをしに寝床から離れたところに歩いてきた所だ。どうやら幼い子供らしいが、さすがはオークで愚息はかなり立派なサイズである。これは前世の何倍だろうと思いながら用を済ます。


 寝床で他の子供たちと一緒にウトウトしていると、時おり大人のオスが何だかわからない動物の肉を持ってくる。エサの匂いで皆が一斉に目覚め、熾烈な争奪戦が始まる。始めはそれがエサだと分からず出遅れたが、今ではすっかり楽しみになった。


 あるとき、出遅れた子供に確保したエサを少し分けてやったら、ものすごく懐いて子分のようになった。ヤツの愚息もなかなか立派である。前世では存在しなかった幼馴染の親友が出来るかもしれない。今はまだ幼いが、いつか立派な大人になり、美しい姫騎士を捕らえて一緒にくっころするのだ。この崇高で高尚な趣味をヤツにも布教せねばならぬと決意した。


 しかし、まぁ何と言うか、オークの子育てはかなり雑であった。


 群れの子供を丸ごと一ヶ所に集めて放置しているようにしか見えない。タマに大人がエサを持ってくるが、大きな塊一個を放り投げてくるだけである。それに皆が群がって食べる。前世より鼻が利くようになったのか、オレもそれに気づいて目が覚めるようになった。そうならなければ食いっぱぐれるので必死でもある。


 あまりハッキリ見てはいないが、食いっぱぐれて弱った子供もいたような気がする。大人が連れて行ったあとは戻っていない。それでも大人は特に悲しんだ様子も無く、それも含めて日常のようだ。多産多死なら仕方ないのかもしれない。


 心配なのは子分である。なんだかオレより少し小さい。

 一緒に目覚めてエサ競争に突撃しても、体格の差ではじき出されてしまうことが多い。エサにあぶれると成長が更に遅れてしまうではないか。体格が小さい割に愚息はオレと同じくらい立派で、十分にエサを得られれば更に大きく成長するだけのポテンシャルを秘めている。この秘めたる可能性を潰してはならない。オレは多めのエサの確保に努め、子分に分けてやることにした。エサを貰った子分は笑った。いかついオーク顔だが、何だか少しかわいいなと思った。

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