⓪-2 日常

 コンクリートだけが広がる拠点。

 気候は暖かく、時折湿り気のある空気が辺りを包み込んでいる。

 朱色の髪を靡かせるラーレは孤児で、はっきりとした年齢は不明。まだ幼い少女だった。

 ラーレは、姉と慕う女性レイスの元を訪れていた。レイスは二十歳くらいの若い女性であり、金髪碧眼の美女だ。


「お茶を飲み終えたら、また銃を教えてね」


 ラーレの言葉に、レイスは困ったように目を閉じた。そのまま首を横に振ると、深いため息を吐き出す。レイスはラーレに拳銃を教えることに反対している。

 しかし、ラーレはレイスの足手まといにはなりたくないと考えていた。

 隣に立ち、共に闘える相棒になりたい。その願いがどれほど危険であるか、幼いラーレはまだ知らない。


「拳銃に慣れることが、今のラーレにとって正しいとは思えません」

「このご時世で、戦う術は持っていて損はないでしょう?」


 世界大戦が終わったとはいえ、それは紙の上でのこと。

 ラーレはティーカップを雑に置くと、そのまま自分の毛先で遊び始めた。ラーレの不安を感じ取ったレイスは、気難しそうに微笑んだ。

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