エピローグ

 図書館の窓辺、すっかり青々と葉を生やした桜並木をそっと眺めた。

(獣人と友達か……よく考えれば、とんでもないな。)

 現実なのに、夢のような世界。同時に、くすんだ僕の世界を彼女は優しく照らしてくれた。


「おはようございます」


 甲高い声が聞こえ、顔を向ければ凛々しい瞳を見せる白銀さんの姿。


「……どうも。また、漢字でも教えて欲しいのですか?」

「見通されていましたか。早速、教えてください。先生」


 そっと微笑み、対面に腰をかける姿に鼓動が早まった。

 相変わらず傷ひとつない透き通る指先。その先を見れば、ひとつの漢字が差し出されていた。


『端緒(たんしょ)』


 それは、僕らの新しい関係みたいだ。


 

 

 

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