オカルト雑誌『月刊・怪異の窓』2003年10月号

オカルト雑誌『月刊・怪異の窓』2003年10月号より


【読者投稿コーナー:あなたの街の禁忌(タブー)】


ペンネーム:匿名希望さん(XX県)


私の田舎には「アやりタカ様」という言葉があります。

どうしても欲しいものがある時や、どうしても消したい人間がいる時、夜中に一人で「やり方が分からない」と独り言を言いながら、村の境界にある古い石塔の周りを歩くんです。

すると、どこからか「カサ、カサ」と無数の足音が聞こえてきて、唖埜里陀禍(アやりたか)様が耳元で「やり方」を教えてくれるといいます。

ただ、母からは「絶対にその通りにやってはいけない」ときつく言われていました。

昔、隣の家に住んでいたおじさんが、借金を帳消しにする「やり方」を教わったらしいのですが……。

数日後、そのおじさんの家からは、人間が出せるはずのない「凄まじい羽音」と「咀嚼音」が三日三晩続いたそうです。村人が様子を見に行った時には、家の中には骨の一片すら残っておらず、ただ数万本の「虫の脚」だけが畳に突き刺さっていたといいます。

おじさんは借金と一緒に、自分という存在そのものを「この世から消すやり方」を教わってしまったのでしょうか。


【編集後記:怪異の窓 第124号】

今月号の「読者投稿:あなたの街の禁忌」はいかがでしたか? 編集部には毎月、真偽不明の怪談が届きますが、今回掲載した「アやりたか」の投稿だけは、少し毛色が違っていました。

掲載準備中、担当のKが「原稿の整理を始めると、シュレッダーの奥からカサカサと音がする」と言い出し、数日後に無断欠勤。彼のデスクには、なぜか茶色の「細長いトゲ」のようなものが大量に散乱していました。

投稿者の「匿名希望」さんもその後連絡がつかず、残念ながら謝礼の図書カードが返送されてきてしまいました。皆さんも、石塔の周りで独り言を言うのはほどほどに。やり方を知ったあとの責任は、当編集部では持ちきれませんので……(編集部・T)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

唖埜里陀禍調査記録 鈴木 @fable_crafter

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画