戦場世界
すずめ
第1話 挨拶は爆弾で
この世界は異常だ。
誰もが"争い"を求めている。
武器を使い、魔法を使い。
攻め合い、爆ぜあい、混沌としている。
その戦争が求めるものは…。
『欲を満たすこと』だ!
え?って思ったそこのみなさん。
この世界で戦争というものは、金を得るためでも自国の都合を合わせるためでもない。
ただ楽しいからやるものだ!!
だからこの世界で今まで起こった戦争で、死亡した人は一人もいない。
なぜなら、争いを求める者は皆『仲間』であり『相手』だ。
戦争で人を傷付けることは許されない。
「おはよう。リクト。」
今日も銃弾の音で目が覚める。
弾丸は、ベッドの上で寝返りをうたなければ僕に当たっていた。
「毎朝うるさいんだけど。お母さん。」
「最近は弾丸避けも上手くなってきたじゃない!きっといい戦績がとれるわ。」
「嬉しくないんだけど…。」
母は不満げな顔をする。
「この世界で弾丸を避けることに嬉々としない人なんていないわ。ほんと、うちの子はいつ戦うことに興味をもってくれるのかしら??」
開けたカーテンの向こうからは当たり前のように爆発の音と銃弾の放たれる音。
この世界に『物を守る魔法』が無かったら今頃、寝床で寝るなんて夢のまた夢だった。
僕は朝ごはんを頬張りながら外で戦っている妹とお父さんを眺める。
「今日は戦高校の入学式でしょ。そんなのんびりしてないで、準備しなさいね。」
はぁ…。
そのことを考えると気が気じゃない。
戦校とは、戦術やそのサポートについて学ぶ場所である。
今日僕が行くのは戦高校。
中校の3年を終えた後に行く場所だ。
僕の中校の3年間は散々なものだった。
向上心がないから戦績表は見苦しいし、友達はいかつい武器を抱えながら誘ってくるし…。
窓から飛び込んだ爆風が僕のため息を吹っ飛ばす。
僕はなんでこんな世界に生まれてしまったんだ!
午前8時。
僕は身を守る魔法を自分にかけてさっさと家を出た。
家から戦高校まではおよそ10分。
これで1時間とかかかる場所に戦校があったら本気で就職を考えてた。
「おはよ、リクト!」
後ろから声をかけてきたのは幼馴染のユーキ。
背中にこしらえていた剣を僕に振りかざした。
「おっと。不意打ちするなら声をかける前がいいんじゃないの?」
「たしかに!頭いいなリクト!」
ユーキはいつもより元気そうな顔で僕の隣に立った。
「高校でもよろしくな!俺の
「はいはい。」
そびえ立つ大きな校門が僕の億劫な気持ちを歓迎した。
生憎、ユーキとは別のクラスだった。
「それじゃあ頑張れよ、リクト!」
「はいよ。そっちもね。」
クラスの扉を開ける。
「はじめましてぇ!!」
がなり声と共に勢いよく僕へ投げられたのは、小型爆弾だ。
こんなの銃弾に比べれば遅く見える。
僕の隣を素通りした爆弾は廊下へ飛び出し、壁にぶつかって爆発した。
壁には黒焦げがついただけで、傷一つもついていない。
当たっても害は無かったようだ。
「オレの剛速球を避けるなんて大したヤツじゃねぇか。お前、名前は?」
「…リクト。」
背の高いその男はギザギザの歯を見せつけながら僕を凝視する。
「リクトぉ!お前の席はあそこだ。これからよろしくなぁ。」
男は窓辺の空いた席を指さした。
「待て。君の名前を聞いていない。」
「あ?オレはこのクラスの担任、『ガン』だよ!!覚えときなぁ。」
え、担任?
どうりで制服を着てなかったわけだ…。
「タメ口きいてすみませんでした…。」
「いいんだよぉそんなの。早く席つきな。」
僕はクラスメイトからの視線を感じながら席についた。
「全員揃ったなぁ!んじゃ最初のホームルームはじめるぞぉー。リーカ、挨拶頼んだぁ。」
「はい。」
クラスの目線が一人に集中する。
『リーカ』。
この人はたしか、首席でこの戦校を合格したっていう…。
「きをつけ。礼。おはようございます。」
『おはようございます。』
始まった。
戦うことを望まない僕の、お先真っ暗の学校生活が。
戦場世界 すずめ @suzume_2525
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