理解者

@koko12345

第1話

「おはよ!」

「おはよう、舞」

「今日はどこ行く?」

「今日はカラオケの気分かな。わたし林檎ちゃんの曲歌いたい」

「いいね。今日2限終わりだから、昼ご飯食べたあと行くか」

「うん!」


・・・カラオケから解散した後、一人で家のベランダでタバコを吸った。音楽に合わせて軽やかに人生を送りたいなと感じる。


私はいつも一人なのかもしれない。でも、私みたいな人っていくらでもいる気がする。そう思えば一人タバコでもさみしい気持ちは失せる。みんな理解者が欲しいって思ってるはず。私もそう。


でも誤解なく100%通じるような人間なんていないのだ。双子でもそう。彼らだってケンカするし、もちろん夫婦だって離婚する。そう思うと今いる家族や友達を大事にしたいと思える。


まあ私がタバコを吸う理由は、自分に酔ってるわけではなく、人生が退屈モードに突入してるからだと思う。この先の人生をもうわかってるというか、生きることが面倒くさいのだ。死にたいわけではないのだが、社会人になっても学生気分でいたいのだ。頭を必死に下げてお願いしないといけない社会人が嫌なのだ。


でも、そんな人生でも考え方次第では救われる方法は二つあることは知っている。一つは夢を追いかけること、もう一つは恋愛をすることだ。前者は私の得意分野である。今までの人生何かしら目標を持って生きてきたのだから。夢を追いかけることくらい楽勝だ。でも、後者は、、。


私は対人恐怖症ではないが男性が苦手である。だから、大学も女子大を選んだ。私の選択は間違いではないと思う。けど、誠実でいい男と出会えたのなら、共学でもありかなと思った。でも、私は女性のほうが分かり合えるし、そういう意味で女性のほうが私の理解者になれる。


結婚について考えてみることもある。好きなタイプはしょっちゅう友達との会話の話題になるし、その度に私は優しくて賢い男だと答える。でも、「優しい」も「賢い」も人によって基準が変わるからあくまでも「わたしにとって」が枕詞につく。できれば早く結婚したいけど、男性とまともに話したことがないから夢のまた夢、そう結婚を夢にしてしまえば花嫁修業として励むこともできそうだ。


そんな矢先私は精神病院に入院することになってしまった。最悪だ。今まで病院にお世話になることなんてインフルやコロナにかかったときぐらいなのに。なぜこのタイミングでなってしまうのだろうか。悔しいけど、この出来事すらもポジティブに捉えて自分の人生のパレットの一部だと思えば入院生活も朝飯前になる、、気もする。そう言いつつもネガティブになることが悪い訳では無いことも分かってはいる。


精神病院に来た記憶はおぼろげである。最初は自分の精神状態を理解しておらず、父親に勝手に連れてこられた。あとになって理解したが、自分がこんなにもストレスにさらされながら生きてたなんて思わなかった。父親とはろくに話したことがないのに何で私の不調に気づいたのだろう。おそらく私のように精神がおかしくなった経験があったのかもしれない。だから異変に気づいたのだろう。そう考えると父親も私の理解者になれそうだ。


なぜかこのタイミングで遊びに誘ってきた友達もいた。もしかして私が入院していることが広まっているのかもしれない。友達も私を助けようとしてくれた。だから私の理解者だったのだろう。


私はこんなにも人に愛されていたのだ。いつも一人でタバコを吸う習慣があり、ときおり物思いにふけることがある。希死念慮もたまにあったのだが、精神病院に入院して自分は一人じゃないことに気づくことができた。面会に家族が来てくれるのも当たり前ではないことを知り、私はそんな家族に生まれることができて幸せを感じている。退院後にやりたいことリストもたくさん作り、なぜか急に外向的になった私は入院生活も楽しめている。こんなに人は急激に変わるものなのだろうか。


この入院生活を通して、今まで自分一人だけしか自分のことをわかってくれないと思っていたが、意外と理解者は多いものだと気づき、退院後も明るく過ごせそうである。

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