第3夜 証言① 侍

 あれは拙者が用心棒として雇われ、化け物退治へと向かった次第。

 お歯黒どぶ沿いにある大きな木に差し掛かった折、異様な気配に辺りは包まれておった。


 鞘に手をかけ、瞬殺の技にて抜刀術を繰り出せる構えで摺り足に歩み寄った……


 赤く小さき「手」が妖々に風に乗り、奇術でも掛けようと怪しく此方を挑発しだす始末。


 小生、鍛え抜かれし精神力にてその妖術を跳ね除け、その手、物の怪に必殺の一閃を浴びせしめた。


 すると、木の陰から女がのろりと現れこう申す。

「どうかお助け願いませぬか、屈強なお侍様。しがない哀れな地縛霊でございます。この苗をどこか人里離れた辺地へとお植え下されば、そこで地縛し風俗に迷惑はかけませぬ。どうか、どうかご慈悲を……」


 その左手は拙者に切り落とされ、悲し気にこう進言されてしまわれば武士の情けを掛けぬは人として道を外すであろう。


 この苗を植えた場に神社でも建て、そしてこれをご神木として奉るがよい。さすればこの物の怪は悪さはせず、然らばその地の「厄災祈願」厄除け厄払いの神と成り得よう……

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