配神が支配する異世界で【クズカメラ】に転生した俺 ~「お前は配信向いてないからw」と追放された華の無いヒロインをSランク冒険者にプロデュースしようと思います~
二度目の転生は最弱Dランク種族【クズカメラ】だった件
配神が支配する異世界で【クズカメラ】に転生した俺 ~「お前は配信向いてないからw」と追放された華の無いヒロインをSランク冒険者にプロデュースしようと思います~
タック@コミカライズ2本連載中
第一章 黒き翼のクロ・クロウリィ
二度目の転生は最弱Dランク種族【クズカメラ】だった件
前書き
新連載開始しました!
初日は五話話投降で、あとはキリの良いところまで毎日投降の予定です。
読んで面白かったらブクマと★★★をくれたりすると喜びます!
――――――
俺――ヤマダは異世界転生者だ。
元の世界では配信を観るのが好きで、推しのVTuberがアンチに炎上させられて卒業を発表したことがショックで、アンチのリアル住所を特定して殺しに行こうとしたところ――。
ドゴォッ!
「ぐえぁっ」
俺は推しコラボ中の宣伝トラックにはねられて死亡した。
推しの意思を無視した罰が当たったのだろう。
むしろ止めてくれてありがとう、推し、ビッグラブ。
終わりの挨拶『おつドラシル~』と走馬灯の最後に聞こえた。
そんなありふれた理由で異世界に転生していた。
過去のことは大体憶えていたのだが、自分自身のことはかなり忘れていた。
名字の〝ヤマダ〟だけは憶えていて、年齢や名前、性別すらすっぽ抜けている。
まぁ自分のことなんて興味はないから、そこはどうでもいい。
問題なのは、いわゆる中世ヨーロッパ風異世界に転生したが、そこには配信というものが無かったことだ。
生きる意味の無い地獄だ。
そのために転生者特有のチートを使ってしたのは俺TUEEEEでもなく、ハーレム
現代知識やコネ、時間、術式開発、汚れ仕事、外交、外法、神殺し……とにかく持てる手段の全てを使って完成させた。
世界中の酒場などにリアルタイム配信を届けられる〝配信魔法〟だ。
それはこの異世界自体に〝概念の杭〟を刺して構築したもので、偉業を成し遂げたと言っても過言ではない。
100年かけて行われたそれは、俺のことを世界が〝配神〟と呼ぶまでになったほどだ。
そして当然のことだが、100年だ。
寿命で呆気なく退場した。
人間だもの。
だが、まだ心残りがあった。
せっかく配信環境を作ったのに、楽しい配信を存分に観ることができていないのだ。
俺は配信を……〝観た〟かった――!!
***
気が付くと、地面に横たわっていた。
身体の感覚がおかしいし、死んで地獄にでも来たのかと思った。
しかし、目を開けると見慣れた中世ヨーロッパ風の異世界だ。
もしかして死に損ねたか?
そう思ったのだが、身体に違和感があった。
まず立ってみたのだが視点が非常に低いのだ。
「も、もしかしてまた赤子に転生したのか!?」
驚きながら手を見たのだが、なんかおかしい。
具体的にどうおかしいかというと、細いというか、そもそもこれ金属だ。
いわゆるアンドロイドになってしまったのだろう。
なんてこった……いや、ロボットは格好良いから問題ないか。
強くて格好良い人間サイズのロボットなら――いや、視点が低いから人間サイズではない?
じゃあ、どんなロボットに生まれ変わったのだろうか?
ようやく落ち着いたので周囲を見ると、何やら不格好なガラクタが大量に転がっていた。
それを見て思いだした。
配信魔法を使うために、その映像を世界中に届けるパートナー種族を複数生み出したことを。
その中でもこれは、一番雑に作った必要最低限の機能しか備わっていない機械型パートナーのDランク――【クズカメラ】である。
嫌な予感がした。
自分の手と、目の前に転がっているクズカメラの手が一緒なのだ。
目線の高さ的にも一緒だ。
異世界ものならこう言うだろう。
「転生したらクズカメラだった件ー!?」
街を通る鉄格子付きの馬車に運ばれ、到着したのはわずかな灯りしかない地下室だった。
「暗くてジメジメしていて……身体が錆びそうだな……」
そこには機械型、妖精型、動物型、人間型――様々な配信パートナーが売られていた。
普通のモンスターと違って配神によって作られた
基本的に人間と共存して、眼で見たものを各地へ配信できるようになっている。
その中でも俺が転生してしまったクズカメラは、初心者にも優しい一番お手頃価格――と言えば良いものの、正直駆け出しでも避けるような酷い性能だ。
まず見た目がメカの〝目玉のお○じ〟だ。
大きな頭部は眼球のようなカメラになっていて、そこに小さい胴体と手足がついている。
そのために撮る視点も低く、まともに配信もできない。
現在の主流はダンジョン配信なのだが、これでは迫力ある映像も撮れない。
・動物型と違って素早く動けたり、爪や牙で冒険者のサポートしたりもできない。
・妖精型と違って空を飛んだり、バフで援護したりもできない。
・人間型と違って万能に動けたりもできない。
なぜこんなものを作ったか?
最初の機械型プロトタイプで必要最低限だけ詰め込んだらこうなってしまった。
逆に最上級の亜人型Aランク【ハイエルフ】のパートナー――ミミルを前世の助手にしていたが、
あれだけ見目麗しく有能なら、俺なんていなくても平気だろうが。
いや、今は関係ない話だ。
今考えなければいけないのは、俺がそんなところから最も遠い最底辺の機械型Dランク【クズカメラ】だということだ。
以前は〝配神〟と呼ばれて、その名の通り神にも均しかったのに……。
マジで状況が飲み込めない。
なぜこんな身体で再び転生していて、ここにいるんだ?
記憶の引き継ぎが上手くいってないのかもしれない。
今、かなり混乱している。
いや、それよりもまずはここの情報が欲しい。
すぐ横にいた仲間のクズカメラ種族に話しかけてみよう。
「おい、お前。ここはどこだ? 俺たちはどこから来たんだ?」
『ピ……ピピピピ……』
クズカメラは大きな愛嬌ある機械眼球を明滅させながら、電子音のような音を発していた。
ポーズ的には首を傾げているようだ。
「しまった、機械型Dランクのクズカメラは普通、喋れないんだった……」
そこでまた一つ疑問が浮かんでしまう。
なぜ、同じ身体の俺は喋れているのか?
転生したからか?
いや、前回赤ん坊に転生したときは身体の構造的にオギャーとかバブーとしか最初言えなかった。
クズカメラも構造的に電子音で簡単な反応しか返せないはずだ。
宿っている魂以外も特別なのか?
クズカメラのコンソールコマンドを内部で叩き、情報を表示させた。
すると見慣れないものが表示された。
「これは……【進化の秘玉】だと?」
前世でも聞いたことのないモノだ。
さらに調べようと思ったのだが――。
「キャハハ、売れ残りが何かブツブツ喋ってる」
「ん? 俺に言ったのか?」
「そうに決まってるじゃん」
それは空を自由自在に飛んでこちらを見下してきている小さな存在――妖精型Bランク【ピクシー】だった。
「こっちはBランクなのに、Dランクのクズカメラが生意気~」
生意気なのはどっちだ、と言いたいがピクシーはその自由奔放さも生まれつきの特性によるモノが大きい。
ようするに初期性格がメスガキタイプなのだ。
そして、そう設定したのは残念ながら前世の俺だ。
煽られて怒りよりも、こんなものを勢いで作ってしまった羞恥心で頭を抱えたくなるのだが、クズカメラの手は短くて、大きな目玉ヘッドでその動作はできない。
「キャハハ、黙っちゃってどうしたの? ざぁこ、ざぁこ。お前のランクよわよわ~!」
「や、やめろぉ! やめてくれぇ!!」
「効いてる効いてるぅ!」
自分の黒歴史が恥ずかしすぎて効いてるんだ、バカヤロウ!!
何とかコイツを黙らせたい。
「ぴ、ピクシー……。お前もこんなところにいるのなら、売れ残っているんじゃないか?」
先ほどコイツが『売れ残りが喋ってる』と言っていたので、ここはまだペアの配信者――つまりマスターがいないパートナー種族が売られている場所なのだろう。
「アタピはすでに売約済みだもん~」
アタピってなんだ、アタピって。
せめてアタシと言え……いや、俺が初期性格にそう設定してしまったのか……。
羞恥心で頭が痛い……。
「キャハハ、またショックで黙っちゃった!」
「ある意味めちゃくちゃショックだ……」
そろそろ自分の電源を落としたくなってきたのだが、そこへ冒険者の集団がやってきた。
こんなところに来るのだからダンジョン配信者なのだろう。
「予約してたバド・バズなんだけど、ピクシーは入荷してるか?」
「はい、はい、はーい! アタピでーす!」
「おっ、可愛いじゃん。大枚をはたいたBランクだし、オレ様にピッタリだぜぇ~」
ピクシーのマスターになったバド・バズという冒険者は、色黒で金髪の短い髪をしたチャラ男だ。
簡単に言えばNTRビデオレターに出てくるような奴だ。
一応、ダンジョン装備を付けているので冒険者と辛うじてわかる。
「っと、そっちの黒ずくめクソ陰キャ女のパートナー種族も補充しなきゃいけないんだっけ」
「可哀想よ~、クロロちゃんだっけ?」
「ちげぇっすよぉ、クロ・クロウリィちゃんだよねぇ~! 陰キャ過ぎて人前で喋れなくても、その安産型のお尻ならかまわないよぉ~!」
クロ・クロウリィと呼ばれた田舎っぽい少女は、お局めいた熟女に名前を間違われ、さらに太ったニヤニヤ顔の男に尻を触られていた。
クロは長すぎる前髪で目が隠れているが、泣きそうな表情をしながら何かを訴えようとしていている。
「あ、あの……」
「黒ずくめクソ陰キャ女のパートナーは~……。そこの【クズカメラ】でいいんじゃね? 何より安いし、またお前が壊してもすぐ替えがきくしなぁ!」
どうやらバド・バズは話を聞かないようだ。
そして、指差されているクズカメラは――俺だ。
壊してもとか、替えがきくとか物騒な言葉がすぎるぞ……。
「あの……その……」
「あぁ? さっきからうるせぇなぁ、そんな喋りだからお前を配信に出せねぇんだよ」
「ひぃっ、すみません……。でも、そのぉ~……。約束してくれた通り……配信に出して頂かないと、お金を稼げなくて……お母さんの治療費が……」
「は? 知るかよ。また盛り上げるために、モンスターの目の前に行く餌役だ。テメェはよぉ」
「そ、そんな……。それに私だけじゃなく、パートナー種族さんまで危険に晒すのは……」
パートナー種族を大事にする良い娘らしい。
今の俺からするとありがたい。
「は? パートナー種族なんて全部使い捨てだろ? 壊れたら買う、その程度の存在だ」
さすがにそれは良くないな。
俺だけならまだしも、パートナー種族全体なら問題発言だろう。
もう少し考えて発言してほしいところだ。
まぁ、俺はいつも冷静な気持ちでいられるから、怒ったりはしないが。
「それに配神が作った、この配信って魔法だってよくわからねぇしよ~。まっ、炎上行為をすれば盛り上がってくれるから楽なんだけどな」
ブチギレタ。
炎上行為とは、配信で最もやってはいけないことだ。
故意ではない行動が炎上に繋がってしまうのはしょうがない。
しかし、自ら炎上を起こそうとして、起こしている迷惑者に容赦はない
「炎上狙い死すべし、慈悲はない!!」
「うわっ、なんだこのクズカメラ!? 喋ったのか!?」
「テイヤーッ!!」
俺は怒りのパッションで飛び、バドの顔面へ突進をした。
しかし――。
「ていっ!」
「あふん」
クズカメラの身体が弱すぎて、はたき落とされてしまった。
このまま硬い地面に叩き付けられたら、最弱クズカメラの強度的にザ・エンドってね! って、転生初日で死亡RTAしてしまううううう!?
なむさん……!!
「……って、俺生きてる?」
クロと呼ばれていた少女が、顔面をこすりつけながらヘッドスライディングをしたポーズで、両腕を伸ばして受け止めていたのだ。
今まで前髪で見えなかった顔だが、チラッと見えた鼻は赤くなってしまっているが、意外と可愛い系の美少女だ。
「は? なんでオレ様が壊してやろうとしたのに、それを助けたんだ?」
「だ、だって……可哀想ですから……」
「うっぜぇー! たかが配信のための使い捨てだっつーの。あー、ムカついた。もういい。お前はオレ様のダンジョン配信チャンネル〝バドバズーズ〟から追放な!」
「そ、そんな……言うことを聞いていればお母さんを助けてくれるって……」
「お前、配信向いてないからw」
「まだまともに配信させてもらってないのに……」
「オレ様は人を見る眼があるからわかんだよ、バーカ! じゃあな、才能無しジメジメ陰キャ女! テメェの母親がすぐおっ死ぬようにお祈りしてまーす。ギャハハ!」
バド・バズたちは去って行く。
取り巻きのお局は『若さだけの足手まといがいなくなってせいせいした』と言い放ち、太っちょはいやらしい視線を向けながら残念そうにしていた。
そして残されたのは絶望しながら涙を浮かべたクロと、俺だけだ。
「私……配信向いてないんでしょうか……」
大きな涙の雫がポツポツと、小さな俺の身体に落ちてくる。
そんなクロを見て、俺は思い出していた。
この世界での目的だ。
それは――……――……――。
それは最高に楽しい配信を観ること。
そのために配信環境を整えたが、まだ必要なものがある。
それは最高の配信者だ。
最高の配信者というのは使い捨てで、店で買えたりするものか?
否、最初は拙くても育っていくものだ。
決めた。
今世の目的は――。
「俺がお前をSランク冒険者にプロデュースしよう。最高の配信でな!」
クロは目をまん丸にして、理解できないといった表情でこちらを見ていた。
――――――
あとがき
自分の配信者方面に対する解像度がかなり上がってきたので、こんな感じの話に挑戦……!!
もうそろそろ時代的にYouTubeという配信文化もかなり根付いてきたので、あまり説明を入れなくても通じるのが助かりますね(以前だと説明文だらけになってしまっていた。小説として辛い)。
これでも説明が必要な感じだったらコメントで指摘して頂けると、読む側の空気感がわかって助かりますし、修正も入れると思います。
あ、面白かったらコメントをするアクションだけでなく、ブクマとか★★★★★★★★とかをくれるアクションをしてくれてもいいですよ! オナシャス!
そういえば、人型ですらない人外主人公を書くのは長編だと8年ぶりくらいですかね(前回は喋る皿)。
WEB小説で活動して長くなってきたもんだなぁ……。
あの頃の読者さんたちはまだネットの海に漂っているのだろうか。
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