天気の帝国
いおにあ
天気の帝国
1906年2月。日露戦争に勝利を収めた大日本帝国は、国際情勢の展開などを
1907年4月。気象操作研究所は、初の天候実験を山梨県富士吉田市で試みた。高周波発生装置による積雲の作成により、三十分弱の人工降雨を起こすことに成功した。
同年8月。「帝国陸海軍気象共同協定」が成立する。建軍以来、なにかと対立しがちな陸軍と海軍が、気象研究に関しては、協力態勢をとることが決定した。
同年11月。日本海における海霧発生実験が成功。これにより、濃霧による艦隊行動の隠蔽が可能になった。
1908年3月。第二十四回帝国議会において、「気象制御網ノ実用化法」が可決される。
同年5月。日本全国十六箇所に、気候制御用の機械・通称「
同年8月。天象塔の第十六号塔が完成する。帝国日本は、気象操作による社会統治へと、本格的に舵を取り始める。
電信網で密接につながった天象塔は、各地の天候を細かく観測しつつ、天候の制御を試みた。
1909年11月。この年の帝国日本の米の収穫量は、前年比二十五パーセント増というう記録的な増産を見る。各地に設置された天象塔による気候制御の影響が、目に見える形で現れた。
1910年8月。気象操作研究所、九州に上陸した台風の進路変更実験に失敗。
同年9月。事態を重くみた政府は、研究所への追加予算百五十万円を特別会計として決議。これを機に、研究所の名称が「天象所」へと変更される。
1912年1月。天象所、一年以上に渡る試行錯誤を経て、北海道の上富良野において、竜巻発生実験に成功する。
同年3月。大日本帝国陸海軍は、人為的竜巻発生装置の軍事利用研究を開始。
同年10月。人工竜巻発生技術の実用化に成功。正式に陸軍に採用される。この人工竜巻発生装置は「
1913年3月。天象塔が更に全国二十一箇所に設置される。これにより、より一層細かな気象操作が可能となる。
1914年7月。6月に起きたサラエボ事件を契機として、応酬にて世界大戦が勃発する。
同年8月。大日本帝国、ドイツに対して宣戦布告。ドイツ領である南洋諸島をはじめ、中国、フランス領領インドシナ、さらにはアメリカの影響下にあったフィリピン諸島を武力によって制圧。この占領作戦において、応龍砲は大きな存在感を見せることになった。
同年10月。大日本帝国は占領した国々を正式に領土に併合。これにより、世界最大の海域を持つ帝国となった。
1915年9月。膠着状態あった西部戦線にて、応龍砲がドイツ軍によって使用される。この結果、戦局はドイツ軍に大きく傾く。
1916年2月。天象所、ヨーロッパ諸国からの高まる受容に答える形で、応龍砲の増産を決定する。また、応龍砲の新たな改良型・
1916年8月。応龍砲の普及による戦闘で、ヨーロッパ各地、竜巻と戦乱により荒廃する。
1917年1月。アメリカ、気象兵器研究所を設立。日本に大きく遅れをとっていた気象兵器の研究開発に乗り出す。
同年7月。アメリカ気象兵器研究所、「応龍砲」の技術を応用した「マゼラン弾」の開発に成功、ヨーロッパ戦線へ投入する。
同年11月。日本、
1918年1月。アメリカ、日本に対して宣戦布告。太平洋、アジア、ヨーロッパ戦線で、気象兵器を投入した全面戦争状態に突入する。
同年7月。従来は遅れをとっていたアメリカが、気象兵器において、日本と対抗できるほどの勢力になる。
同年8月。日本、大型台風発生爆弾「スサノオ」の開発に成功。太平洋で作戦行動中の米軍艦隊を、大型台風を大量発生させることによって、沈める。
同年9月。アメリカ、大型台風発生爆弾「テンペスト」の開発に成功。太平洋および大西洋において、「スサノオ」「テンペスト」の無限爆撃が繰り広げられる。
同年11月。アフリカにおいて「テンペスト」が使用される。中国において「スサノオ」が使用される。
1920年5月。一年半に渡る台風爆弾を使用した戦争により、莫大な化石エネルギーを
1921年5月。地球大陸の大半が水没したため、気象兵器戦争は自然消滅する。便宜的に、この月を終戦とする。
1951年。地球の海面上昇に適応した人類が、突如、生まれ始める。新たな
1957年。水棲人文明、西暦を改めて、この年を新海紀1年とする
新海紀105年。第五世代と呼ばれる水棲人の誕生。この記録の筆者・ノルイモも、この年の誕生。
新海紀124年。かつて大日本帝国の存在していた海域の海中遺跡にて、奇蹟的に浸食を免れて、保管されていた史料を発見。慎重にそれらの解読作業が始まる。
新海紀125年。一年に渡る解読作業によって、失われた歴史の現在判明した部分までをここに書き記す。今後の発掘・解読作業に寄っては、随時更新される可能性あり。
天気の帝国 いおにあ @hantarei
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