おとなりはドラゴン
@_Mikuo
第1話 12月31日
12月31日。
今年も、あとわずかだ。
新年のカウントダウンへ出向く若者たち。
除夜の鐘に耳を澄ませる老人。
某歌合戦を見終え、炬燵で余韻に浸る家族。
それぞれが、それぞれの年末を過ごしている。
私は、山間の中腹を流れる小川の麓で、
一人キャンプをしていた。
冬の山は寒い。
それこそ死んでしまうほどに。
焚いていた焚き火を消す。
闇が、すぐに辺りを飲み込んだ。
真っ暗な森の中、白い息だけが、ゆっくりと空へ昇っていく。
暗い。
静かだ。
耳を澄ませても、聞こえるのは森の囁きだけだ。
人の気配は、どこにもない。
私は両目を閉じ、これまでの人生を思い返した。
あの時から、
ただ、つらくて、
しんどいだけの人生だった。
理由はいくつもある。
けれど今となっては、数える意味もない。
だが、それももう終わりだ。
楽になれる。
やっと。
誰にも迷惑をかけず、
誰にも見つからず、
静かに、終われる。
私は静かに目を閉じ、
意識が遠のいていくのを感じた。
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