お義姉さんと露天風呂なのに、何で雨!?

東條零

第1話

 あたしは、お兄ちゃんのお嫁さん、つまり義理のお姉さんに片想いしている。


 お兄ちゃんも、お義姉さんも、あたしの気持ちなんか知らないし、きっと気づいてもいない。

 勿論、あたしは自分の気持ちを打ち明けるつもりはない。


 両親が死んでから親代わりで育ててくれたお兄ちゃんにも、そんなお兄ちゃんの支えになってくれているお義姉さんにも、幸せになってもらいたい。



 お兄ちゃんが会社の忘年会のビンゴ大会で、温泉のペア宿泊券を当ててきた。

 保留になってた新婚旅行の代わりにって言ってたのに、急にトラブル対応が入って、会社にすっ飛んで行っちゃった。


 ハンサムウエアとかなんとか言いながら食パンくわえて走って行ったから、どこかの角で誰かとぶつかっているかもしれない。


 で、宙に浮いちゃった宿泊券、もちろん予約済み。お義姉さんは、それをあたしに見えるようにひらひらさせて、パチンとウインクして言ったんだ。


「いっしょに、行こっか」


 って。

 うわぁ! お兄ちゃん感謝!

 ハンサムなんとか、大感謝!!


 そしてあたしは、お義姉さんの運転する車で、ちょっと山奥の有名な温泉に着いたんだ。

 道中も楽しくて、おしゃべりが尽きなくて、嬉しくて嬉しくて、あたしははしゃぎっぱなしだった。


 お義姉さんは、ほんとは愛する旦那様と来たかったのかもしれないけど、そんなことはおくびにも出さず、あたしに話をあわせて一緒に笑ってくれていた。


 優しくて美しくて、天使のようなお義姉さん。

 なんでこんな完璧で素敵な人が、あのお兄ちゃんのお嫁さんに来てくれたのか、ほんとに謎だったけれど、あたしは嬉しいからそれでいい。



「お義姉さん! すごーい! 凄い! 源泉掛け流し、四季の絶景が見られる露天風呂だって!」

「紅葉もそろそろ終わりだけど……。ここ、標高が高いから、まだ鮮やかな景色が観られるかもしれないわね!」


 お義姉さんは、嬉しそうに笑う。


 お兄ちゃんが、

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お義姉さんと露天風呂なのに、何で雨!? 東條零 @Lei_Tojoe_09

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