架空国家オワリア激動の現代史

無邪気な棘

第1話 解放と新たな影 (1945―1946)

1945年8月15日、日本の敗戦はオワリアにもたらされた。


日本の管理下に置かれていたこの地では、ラジオ放送を通じて終戦が知らされ、人々は長年の抑圧からの解放を直感した。


街路では伝統衣装であるキモナを翻した人々が仏寺に集い、戦争の終結と平和の到来を祈願した。


しかし、その歓喜は束の間のものであった。


1946年、かつての宗主国であるイギリスが「秩序回復と保護」を名目に再進駐し、アリスター・ヒース総督による軍政を開始する。


オワリアは事実上、再び植民地的支配下に置かれた。


この「二重の解放の否定」は、温和であると同時に強固な信仰心を持つ仏教徒社会に、静かな怒りを蓄積させていった。

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