春とシュラ

天羽融

春とシュラ

犬の耳の裏はふわふわです。


たんぽぽの綿毛を胸いっぱいに吸い込んで、命と垢とどっぐふうどの香りがします。


土手につくしと菜の花が咲いています。


土手の向こうには山と空と川が広がっています。


その間に私が立っています。


くしゅんとくしゃみをしたので、綿毛が霞の青に、散っていきました。


犬と私が溶けて溶けて、ミトコンドリアと一体化して、川の藻にへばりつき、水に流され、海へと渡り、蒸発して、空気に上がりました。


空気は塵。


わたし達は、夜に輝く星を写して、


どこへにもいけないことを泣きました。

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