永い夜

にほんしゅ

太陽を見たい

 俺の記憶は無い。気が付くとここに居た。俺がいるこの建物は無機質でぬくもりが無く、誰もいない。なんだか秘密基地みたいな建物だと歩き回りながら思う。部屋は3部屋しかなく、大きなモニターとコンソールがたくさんある部屋、殺風景で何も無い部屋、そして殺風景な部屋と外をつなぐ小部屋。

 モニターの部屋はそれなりに広く、たくさんの機械もあるのに誰もいない。ただ機械が何かしらの大きな音をたてながら稼働している。

 殺風景な部屋は家具らしい家具なども無い。ただ椅子と硬いベッドと小部屋に繋がるドアがあるだけだ。ドアは壁についているスイッチを操作すれば開いた。小部屋に入ると向かい側にもドアがあり、そこから外に出るようだった。その部屋には他に何もない。

 どうして自分がこんなところにいるのかわからなかった。ただ、小部屋から覗いた建物の外には何も無く、ごつごつした土地が広がる真っ暗な景色だった。せいぜい、この建物から漏れ出る明かりが照らす範囲しか見えない。本能的に出るべきではないと思えた。

 どうしてこんなところにいるのか。いつからいたのだろうか。なぜ記憶が無いのか。疑問は尽きないが、ふと思ったことがあった。

 太陽を見たい。

 切実にそう思った。どうしてかはわからない。今何時で、何時が夜明けなのかすらわからないことが、こんなにも不安なのかと初めて知った。

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