結婚詐欺師との攻防

如月

第1話 結婚詐欺師との攻防


「お待たせしました。」

「......。」

「あの、無視しないで貰えますか?」

「えっ.....俺に言ってます?」

「他に誰がいるんですか?」

「いや、初対面ですよね。」

「確かに初対面ですけど......。」

「えぇ?それなら反応しなくてもおかしくないですよね?」

「初対面は初対面ですけど、メールでは何度もやり取りしたじゃないですか。」

「そんな記憶ないけどっ!?」

「はい?冗談でも面白くありませんよ。」

「冗談じゃないんだけど.....。」

「私の顔が悪かったんですか?」

「何の話!?あなたは可愛いと思いますけど。」

「えっ、ならこちらにサインを。」

「は?何これ?」

「結婚届ですけど?」

「急展開過ぎでしょ!!初対面ですよね!?」

「でも、顔も嫌いじゃない、メールのやり取りでも問題ない。なら、結婚ですよね。」

「いやいやいや。ですから、メールのやり取りなんてしてないですよね!?」

「はい?まだ言いますか。昨日のメール朗読した方がいいですか。」

「朗読されても困るけど。」

「では、朗読しますね。」

「話聞いて?」

「愛ちゃ〜ん♡明日はようやく会う日、ダネ。この日を前から楽しみにしてたヨ。明日はよろしくネ。こんな感じで絵文字もたくさん送ってきてくれたじゃないですか!!」

「う、うわ〜。そんなメール朗読するなんて、どんな罰ゲーム?」

「罰ゲームって、あなたが送ってきましたよね。前からキモいとは思っていましたけど。」

「えぇ、キモいと思っているのに結婚するの?」

「え?ああ、か......ごほん。キモカワってやつですよ。」

「ねぇ、今何を言いかけたの!?」

「そんなこといいじゃないですか。何が不満なんです?」

「いや、今の結構重要そうだよ!?ちゃんと聞いておかないとまずいところだよね!?」

「いいですから、結婚しましょう。」

「いや、しないから。そもそもお相手間違えていますよ。」

「この後に及んでつまらない冗談を言いますね。とりあえずここにサインを。」

「とりあえずでサインするものじゃないよね!?そもそも付き合ってもいないのに結婚っておかしいでしょ!!」

「え?なら付き合いましょうか。」

「う、うん?ま、正しいのか?」

「うん、ということは私達は恋人ですね。では、結婚しましょう。」

「いやいやいや、全く状況変わってないじゃん!!」

「え?でも今付き合いましたよね。なら、次は結婚ですよね。」

「順番はそうだけど、今日付き合って、今日結婚するのおかしいでしょ!?」

「愛があれば問題ないです。」

「愛も何もないよね!?だって、初対面だよ!?愛の芽生えようもないから!!」

「あれほど熱烈なメールを送ってきていて?」

「でも、キモいんだよね。」

「ええ、キモいですね。」

「愛なんてないじゃん!?そもそもメール送ったの俺じゃないし!!」

「キモカワですよ。キモカワ。まぁ、あのメールはキモキモって感じですけど。」

「本心出ちゃってるよ!?大丈夫!?」

「ええ、とりあえず結婚してもらえれば大丈夫です。」

「その要望は聞いてないから。もう帰っていいかな?」

「これからが楽しいところじゃないですか。結婚届にサインして、市役所に行く。その後、私名義で家を購入して、お金はあなたが払う。ほら、こんなにも楽しい予定がいっぱいですよ。」

「それ楽しいの貴方だけですよね!?しかも、やっぱり金のためじゃん!?全然誤魔化す気ないよね!?」

「いいですから、サインしましょう、ね?」

「え、何?何でこっちが聞き分けのないような感じになってるの?」

「ほら、いいからサインを。名前を書くだけですから、ちゃちゃっと書きましょう。」

「いやいやいや。金のためでしょ?そんなのサインするわけないじゃん。」

「ひどいっ!!あんなにも愛し合ったのに!?」

「いや、だから初対面だよね!?」

「二日間メールしましたよね!!」

「えっ?メールのやり取り二日間だったの!?それで結婚って明らかにおかしいじゃん!!」

「あんなに熱烈だったのに!!」

「キモかったんだよね!?」

「キモカワですよ。キモカワ。」

「キモカワって言っておけばいいと思っています!?そもそも俺メールの相手じゃないって言ってますよね!?」

「うっ、ううっ。」

「えぇ、今度は何?」

「お母さんの入院費がないの......。」

「完全にお金のためって認めたね。それに家を購入がどうたら言ってたけど?」

「どうして分かってくれないの!?」

「わっ、急に何!?」

「ヒスれば頷いてくれるかなと。」

「魂胆言っていいの!?それ言っちゃったら意味ないよね!?」

「泣き落としに、ヒステリー。後何をやったら満足なんです!!」

「何でそっちが怒ってるの!?無駄な時間過ごしているこっちが怒りたいよ!?」

「えぇ、すぐ怒る人こわっ.....。」

「すぐ結婚しようとしてくる人の方が怖いわ!!」

「そんな人がいるんですか!?怖いですね。防犯のためにどうでしょうか?こちらにサインをするだけで、そんな事態も防げちゃいます。」

「君のことだよ!?ちゃっかり結婚しようとしないでくれるかな!?」

「あら?振られてしまいましたか。ですが、いずれ第三、第四の私が貴方に結婚を迫って来るでしょう。」

「いや、諦めて?」

「今日のところは諦めてあげましょう。つきましては、今後も会えるようにこちらにサインをお願いします。」

「全然諦めてないじゃん!?」




「あの.....。」

「「はい?」」

「私が、その相手なんですけど。」

「「......。」」

「こほん。どちら様でしょう?キモいメールを送ってくる知り合いなんて一人しかいませんけど。」

「ひどっ......。そっちの青年は関係ないので、解放してあげてください。」

「.....部外者が入ってくるなと言いたいところですが、今日のところは諦めてましょう。ということで、メールアドレス交換しましょう。」

「え?やだよ。結婚詐欺師にメールなんて教えるわけないじゃん。」

「ではこちらにサインを。」

「全然懲りてないじゃん!!俺部外者なんだけど!?帰っていいかな?いいよね!!」

「ではメールかサインを。」

「究極の二択すぎる!!もう帰るから!!」

「家にお持ち帰りってことですね。分かります。」

「違うけど!?この女、無敵か!!」



「結局、メールがキモいだとか、部外者だとか、そもそも結婚詐欺師だったとか。僕が一番災難だったよね。」

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結婚詐欺師との攻防 如月 @kisaragi25

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