ペンタブ少女☆プリスタ♪ ~絶対音感の僕と神絵師の彼。クラスの陰キャ二人が、放課後は最強の美少女VTuberだった件~
ペンタブ少女☆プリスタ♪ ~絶対音感の僕と神絵師の彼。クラスの陰キャ二人が、放課後は最強の美少女VTuberだった件~
ペンタブ少女☆プリスタ♪ ~絶対音感の僕と神絵師の彼。クラスの陰キャ二人が、放課後は最強の美少女VTuberだった件~
STUDIO QAZXOO (スタジオ・
ペンタブ少女☆プリスタ♪ ~絶対音感の僕と神絵師の彼。クラスの陰キャ二人が、放課後は最強の美少女VTuberだった件~
僕は高校生になったら、友達がいなくなってしまった。
きっかけは中学三年生のクラス替えだった。僕は仲良し五人組の一人だったのに、二対二対一に分かれてしまった。もちろん、僕が一だ。
最初は昼休みになると、他の友達のいるクラスに遊びに行っていた。でも、ある日『また来たのかよ』みたいな顔をされた。その日以来、僕は他のクラスに遊びに行かなくなった。そう、クラスが変わると自然と疎遠になるんだ。
そのまま卒業して、高校生になった。
一旦、友達を失うとなかなか新しい友達ができなくなった。友達の友達もいなくなるから。そして、クラスメイトへの応対がぎこちないものになっていた。こうなると悪循環だ。話しかけることもできず、何か聞かれても「えっ?えっ?」と不自然な反応。クラスメイトからはキモいヤツと思われていることだろう。
友達ってつくるんだっけ?なるんだっけ?できるんだっけ?わかんなくなってしまった。
僕のキモさに拍車をかけているのが、絶対音感だ。何かの音を聞くと、うっかりドレミにして口ずさんでしまう癖があった。「ドドミレ〜」みたいに。子供の頃のピアノ教室のおかげだ。
えっ?カッコいいって?でも、そのカッコよさを表現できない。いきなり『僕、絶対音感があるんだ』なんて言うシチュエーションある?音楽室のピアノをいきなりうまく弾いても、陰キャ認定された僕をカッコいいと思うわけがない。むしろ引かれるよ。で、ドレミにして口ずさんでいるところを、いつも怪訝そうな顔で見られるんだ。
そんな僕が唯一の楽しみにしているのが、VTuber「ペンタブ少女・慈絵夢(ジェム)プリスタ」だ。学校から帰ると、真っ先に配信を見る。
プリスタのアバターは、グレーがかった髪にピンクと水色のメッシュが入ったツインテールの女の子だ。大きな紫色の瞳がキラキラと輝いていて、黒いリボンで結んだ髪が動くたびに、虹色のエフェクトが散る。配信画面には、彼女の周りを漂う幾何学模様のエフェクトや、星のようなパーティクルが散りばめられていて、まるで創造の魔法を使っているみたいに見える。
そして、その可愛らしい見た目とギャップのある関西弁が最高なんだ。
彼女の描いてみた配信がすごい。リスナーのリクエストに応じて、アニメや漫画のキャラを即興で描ける。ペン入れだけじゃなくて、色塗りまでしてくれる。僕は時間を忘れて、一つのキャラクターが出来上がるまで見とれているんだ。
ある日、いつものように昼休みにプリスタのテーマ曲をドレミで口ずさんでいた。「ソーミレドレミソー」って。
すると、後ろから声をかけられた。
「おい、そのテーマ曲プリスタだろ?」
振り返ると、クラスの黒川君だった。無口で友達がいない奴。僕と同じ陰キャ仲間だと思っていた。
「えっ?そう?何それ?」
僕はとぼけた。
黒川君は何も言わずに席に戻っていった。
その日の夜七時、プリスタの配信が始まった。いつものように絵を描きながら、関西弁でリスナーとやり取りしている。そして配信の終わりに、プリスタが鼻歌を歌い始めた。
「ソーミレドレミソー♪」
僕が昼休みに口ずさんでいたのと、同じように。
「えっ!プリスタって、黒川君!?」
翌日、黒川君に呼び出された。
「まあ、バレてもうたな」
黒川君の家に連れて行かれた。おばあちゃんと二人暮らしの古い一軒家。でも部屋に入ると、高額な配信機材が並んでいた。
「あんなあ、プリスタのテーマ曲な、作曲サイトで七万円払って作曲してもらった曲やねん。世界に一曲やねん。そのメロディ口ずさむやつ、プリスタのリスナーしかおらへん」
黒川君は苦笑いした。
黒川君が学校で無口な理由がわかった。めっちゃ、関西弁だった。
「この配信の機材、高かったでしょ?」
「まあな。あれや、迷惑系YouTuberってやつ?あれで稼いだんや」
僕は引いてしまった。あまり関わらない方が良さそうだ。
「でもな、もっと稼げる方法見つけたってん。MMORPGって知っとるやろ?あれ、何の気なしに女キャラでプレイしててん。そしたらな、他の男キャラがめっちゃアイテムとかくれんねん。女キャラやからやろな。んでも、中身男やで。それで思いついてん。これは金になるって。」
黒川君が本音を打ち明けた。
「俺、金持ちになりたいねん。金持ちになって俺を捨てた、おとんとおかんに復讐するんや」
「復讐?」
「そや、ヒカチンみたいに金持ちになって豪邸買って配信するんや。いぇ~い、おとん、おかん、見てる~ってやりたいねん」
そして少し間を置いて続けた。
「俺んちな、おとんとおかんのケンカが絶えんかったんや。俺、その地獄の時間、漫画描いて乗り切ったんや」
黒川君は僕を見つめた。
「お前、絶対音感あるやろ?協力してくれへんか?描いてみた配信のプリスタに弾いてみた配信足したら、もっと人気出る。人気ランキングで一位取りたいねん」
「よっしゃ、おまえは今日から、キーボード少女プリピアや!」
半ば強引に協力させられることになった。でも、憧れのプリスタの一部になれるという気持ちも、少しはあった。
初めての「プリピア」配信。僕は震える手でキーボードに向かった。
「今日はな、特別企画や!プリピアとして、ピアノ弾いてみるで~」
黒川君がプリスタの声で話す。リスナーから昔のアニメソングのリクエストが来た。僕は耳コピで即興演奏した。子供の頃から無駄だと思っていた能力が、初めて役に立った。
「プリスタちゃん、ピアノも弾けるの!?」
「神配信!」
チャット欄が盛り上がる。配信が終わった後、黒川君と顔を見合わせた。二人とも笑っていた。
それから毎日のように配信を重ねた。描いてみた、弾いてみた。二人で作り上げるプリスタとプリピアは、どんどん人気が上がっていった。
プリスタで特に人気があったのは、グリフォンキューブや、アリウープ、サブキャプテン大地などの週刊少年ステップの漫画キャラだ。黒川君の描くキャラは原作そのままじゃなくて、プリスタ風のアレンジが加わっていて、それがまた良かった。
プリピアで人気があったのは、アニソンはもちろんのこと、ハイパー部隊や覆面ドライバーなどのヒーローものの主題歌だ。僕が耳コピで弾くと、コメント欄は「神!」「天才!」で埋まった。
そしてついに、VTuber人気ランキングで一位を獲得した。
僕たちはハイタッチをした。
それから数日後の夜、配信予定じゃないのに配信が始まった。僕は慌ててスマホを開いた。黒川君が一人で配信している。
「あのな...大事な話があるんや。慈絵夢プリスタ、今日で...やめることにしたんや」
僕は自宅からチャットに書き込んだ。
「なんで辞めるんだよ!」
プリスタはチャットを見て動揺した。
「えっと……その……」
僕は畳みかけた。
「一位になったのは二人でやったからだろ!」
黒川君が感情的になった。
「もう、ええねん!おまえには関係ないやろ!」
そして、引退の理由を話し出した。
「おかんが戻ってくんねん。確かに男つくって出ていったおかんやけど、俺、おかん戻ってくんの、正直うれしいねん……」
リスナーたちは困惑していた。プリスタちゃんどうしたの?誰と話してるの?プリスタちゃん、俺って言ってる?
配信はぐだぐだのまま終了した。
それから、学校でも黒川君とは疎遠になった。
数日後、クラスメイトから聞いた。黒川君が今日、転校するって。
お母さんと関西方面に戻るらしい。
僕はそれを聞いて、いてもたってもいられなくなった。
僕は学校を早退して、自宅に向かって走った。
走りながら心の中で考えていた。プリピアで活動していた数カ月間、とても充実していた。これも黒川君のおかげだ。なのに、なぜ彼のお母さんが戻ってくると知ったとき、一緒に喜べなかったんだろう。なぜ良かったねと言ってあげられなかったんだろう。
後悔したくない。だから、今度こそちゃんと伝えたいんだ。
自宅に着いた。プリスタのアカウントにアクセスして、配信を開始した。
こんなセリフ、言ったことがある人は日本中で何人いるだろう?もしかすると、一生に一度も言ったことがない人の方が多いんじゃないだろうか?もしかすると「僕と付き合ってください!」のセリフより少ないんじゃないか?
僕は初めて、プリピアとして話した。いや、叫んだ。
画面の向こうで、黒川君が見ているかはわからない。
でも僕は言った。
「プリスタ!僕と友達になってください!」
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