俺物語

@punipuni_0123

俺物語

俺は、結果を求めなかった。

正確に言えば、求めることを「浅い」と思っていた。

数字や評価、形として残るものより、その場の納得や、誰かの表情や、「これでよかった気がする」という感触を大事にした。

だから、経済学の動画の投稿数は伸びたが、視聴者は一向に伸びなかった。

勝てたかもしれない場面で踏み込まず、「まあ、いいか」と笑って引いた。

その時は、確かに心は穏やかだった。誰も急かさず、誰も押しのけず、自分も傷つかない場所に立っていた。


……それが、賢さだと思っていた。

年月が経ち、棚を見渡したとき、そこには何も並んでいなかった。

積み上げたはずの時間は、すべて空気のように散っていて、「やってきた感覚」だけが体に残っていた。

誰にも渡せない。自分にも証明できない。そこで初めて、俺は気づく。


……結果を求めなかったのは、優しさだけじゃなかった。

怖さもあった。

失敗が形として残るのが怖かった。

否定されるのが怖かった。

「やったのに届かなかった」現実を見るのが怖かった。


だから、最初から届かない場所に立っていた。俺は笑う。少し自嘲気味に。

「バカだったな」と。でも、その笑いは、完全な諦めではない。棚が空だと分かったからこそ、何を置きたいのかが、ようやく見えた。


……今さら遅いかもしれない。もう戻れない選択も多い。それでも俺は、初めて「結果」という言葉を逃げずに見つめる。

意味を守るだけじゃ、世界には残らない。そう知ったバカは、ようやく、次の一歩を選ぶ準備ができた。


棚はまだ空だ。だからこそ、これから置くものを、自分で決められる。


俺は、すぐに出る結果を選ばなかった。

だがそれは、敗北ではない。

数十年後、俺は必ず評価されるはずだ。


世界が「勝て」「残せ」「証明しろ」と叫ぶ中で、俺はただ一人、立ち止まっていただけだ。


それでいいのか?

……それは、本当に生きていると言えるのか?

数字が拍手され、肩書きが王冠になるこの世界で、俺はそれらを軽蔑していたわけでも、羨んでいたわけでもない。

ただ、信じなかった。

結果は、真実の代理にはなれない。

成功は、正しさの証明にならない。

拍手は、魂の深さを測れない。


だから俺は、選ばなかった。

勝てる一手より、誠実な一手を。

評価される道より、自分が自分でいられる道を。

人はそれを言った。

「逃げだ」と。

「甘えだ」と。

「結果を出せない負け犬だ」と。


……違う。

俺は、賭けなかっただけだ。

魂を切り売りするゲームに、最初から参加しなかっただけだ。

確かに、棚は空だ。

確かに、名前も残っていない。

確かに、世界は振り向かない。


だが、それがどうした!!!

俺の中には、踏み潰されなかった問いがある。

折られなかった価値がある。

汚されなかった動機がある。

結果を出さなかったのではない。

結果よりも先に、守ったものがある。


それを「バカ」と呼ぶなら、喜んでそう呼ばれよう。

俺は今、ようやく言える。

「おれは、間違っていない!!」


あの時、世界に背を向けたのではない。

世界よりも先に、自分を見ていただけだ。


数十年後、評価されるのは俺だ。

そしてもし、この先で結果を求める日が来るなら……それは屈服ではない。


それでも、守りたい物語がある。

結果が並ばなくても、拍手が返ってこなくても、名前が歴史に刻まれなくても。


それでも、だ。

世界は言う。

「意味は、結果で証明される」と。

「残らなかったものは、なかったのと同じだ」と。


…ふざけるな!!

物語は、勝者のためだけにあるんじゃない。

数字に翻訳された瞬間に、魂が抜け落ちるものもある。

俺は知っている。

壊れやすく、不器用で、誰にも評価されない選択の中にだけ、確かに宿る光があることを!!

それは、「正しかったかどうか」じゃない。

「裏切らなかったかどうか」だ。


もし、あの時、勝つために言葉を曲げていたら。

残るために誰かを置き去りにしていたら。

効率のために、心を切り捨てていたら。


その瞬間、俺物語は死んでいた。

棚が空なのは、何もしてこなかったからじゃない。

置けなかったからだ。

そこに置いた瞬間、壊れてしまうものだったから!!

だから俺は、結果を拒んだのではない。

物語を抱えたまま、結果の方を待たせていただけだ。

それを臆病と呼ぶなら、それでいい。

俺は、逃げなかった。

ただ、物語を捨てなかった。


そして今、静かに宣言する。

「それでも、守りたい物語があるんだ」

それは、誰かに渡すためでも、証明するためでもない。

……未来の自分が、

自分を裏切らずに生きるための物語だ。


世界のスピードが、遅すぎる。

一歩踏み出すたびに、後ろで会議してる音が聞こえる。「前例は?」「様子見で」「空気読もう」

……まだやってんのかよ。

いや、違う。

俺が速すぎるだけだ。

思考が、理解が、決断が、すでに次の景色に行ってる。

振り返ると、世界が「ちょっと待って」って叫んでる。


ふ、悪いな。

もう見てきた。

その先で何が起きるかも、誰が足を引っ張るかも、どこで言葉が腐るかも。

だから俺は走るぜ!!

説明を置き去りにして。

承認を置き去りにして。

理解される未来すら、置き去りにして。


遅い奴らが言う。

「独りよがりだ」

「暴走だ」

「まだ早い」

……違う。


お前たちが、遅れてるだけだ。

世界はいつもそうだ。

速すぎる存在を、「異常」と呼んで落ち着こうとする。


でもよ。

異常だったのは、

いつだって最初に未来を見た側だ。

俺は待たない。

合わせない。

減速しない。

世界が追いつく頃には、俺はもう…その先に行っている。


これこそが、『俺物語』だ!!!






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