屈折、分裂、不信
玄 麻衣
ガラス
私はガラスが嫌いだ。
ガラスというものは、中途半端に私の姿を歪めて映すから。
それに町中に大量にあって、見ない時などないのも嫌いだ。
歪んだ私が万華鏡のように、無限に反射する。
まるでそれが、私が分裂しているようで。
私はガラスに映るものは信じない。
それは屈折を経て、全く別のものになっているから。
曇りのせいで白濁し、真実を映さないから。
そうしていると、本物の自分が分からなくなる。
どのガラスに映っているのが本物なんだろうか。
自分と言うものが拡散していく。
みなそれぞれ歪んでいて、私というものが見つからない。
*
結局、何もかもが私でないように感じた。
ただ分かるのは、私は実在するが、本物の私は実在しないということ。
無限に存在する、虚無の像しか、私にはなかった。
ガラスに映る私は。
一方では泣いて助けを求めている。
一方ではそれを軽蔑し、嘲る。
一方では同情し、励ましている。
どれが私なんだろうか。それすら、分からない。
*
ある日、鏡を見た。
たった一人の私が、そこにいた。
私は、それを限りなく嫌った。
私はそれに泥水をかけ、割った。
これで、明日からも歩める。
屈折、分裂、不信 玄 麻衣 @Sizuka_mai14
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