次元遊歩者(ディメンション・ウォーカー) ――全世界を踏破する男の叙事詩――』
@hitroshi
第1話
プロローグ
――世界は、音もなく裏返る。
夜明け前の空は、いつも不安定だ。
闇でもなく、光でもない。その曖昧さが、現実の輪郭を緩める。
俺がそれに気づいたのは、たまたまだった。
原稿明けの早朝、眠気を誤魔化すために歩いていた住宅街。
アスファルトに落ちる自分の影が、ふと二重になった。
「……?」
立ち止まった瞬間、世界が軋んだ。
音はなかった。
ただ、空間そのものが紙を裂くように割れ、裂け目の向こうから異質な色彩が滲み出した。
紫がかった空。
浮遊する岩塊。
遠くにそびえる、幾何学的すぎる塔。
脳が理解を拒否する前に、身体が前のめりになる。
まるで重力に引かれるように、俺は裂け目へと落ちていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます