スポーツ戦隊ゴリンジャー

阿弥陀乃トンマージ

第17話 冬のあっついやつら!?

「うわあっ!」

「きゃああ!」


 逃げ惑う人々を見て、快哉を叫ぶ雪だるまの怪人。


「フハハハハ! 日本だけでなく、このイタリアも我々『カケイブン』の支配下に入るのだ! 光栄に思え! ……さて、次は強力な爆弾を爆発させてやろう!」

「待て!」

「む!? その声は……!?」


 雪だるま怪人が視線を向けた先に、五色の全身タイツを着た五人の姿があった。


「真っ赤に燃える心! 疾走する熱血! リクジョウレッド!」

「青春という水を泳ぐ! 透き通る純真! スイエイブルー!」

「目指せ最高難度! 築くぞ黄金時代! タイソウイエロー!」

「緑の星を駆ける! 広がれ友情の輪! キュウギグリーン!」

「黒星はいらない! 望むは勝ち星! カクトウギブラック!」


「五人揃って! スポーツ戦隊!」

「「「「「ゴリンジャー!!!!!」」」」」


 五人が揃ってポーズを取る。雪だるま怪人が戸惑う。


「ゴ、ゴリンジャー! な、何故ここに!?」

「俺たちは人類の危機ならばどこにだって駆け付けるぜ!」


 リクジョウレッドと名乗った赤いタイツを着た者が応える。


「くっ……戦闘員たちよ、かかれ!」

「ヒー!」


 雪だるま怪人の命令に応じ、紫色の全身タイツを着た戦闘員たちがゴリンジャーに襲い掛かる。


「喰らえ! 『猛ダッシュ』!」

「ヒ、ヒ―!」

「どうだ!」


 リクジョウレッドが目にも止まらぬ速さで戦闘員たちの間をすり抜けていく。ダッシュで生じた風圧を受けて、戦闘員たちはバタバタと倒れる。


「行くわよ! 『バタフライ』!」

「ヒ、ヒィー!」

「……よし! 好タイムね!」


 スイエイブルーが地面を水面に変えて、戦闘員たちの間をすり抜けていく。バタフライの泳ぎで生じた圧を受けて、戦闘員たちはバタバタと倒れる。


「よっしゃ、『大車輪』!」

「ヒ、ヒヒィー!」

「へへっ、ざっとこんなもんだぜ!」


 タイソウイエローが飛び上がり、近くに現れた鉄棒を掴んで回転する。その際に生じた風圧を受けて、戦闘員たちはバタバタと倒れる。


「いっけえ、『無回転シュート』!」

「ヒ、ヒヒヒィー!」

「決まったぜ!」


 キュウギグリーンがどこからか取り出したボールを思い切り蹴る。ボールは戦闘員たちの間をすり抜けていく。ボールから生じた風圧を受けて、戦闘員たちはバタバタと倒れる。


「はああ! 『背負い投げ』! 『払腰』! 『大外刈り』! 『巴投げ』!」

「ヒ、ヒェー!」

「……一本勝ちね」


 カクトウギブラックが近くの戦闘員たちを片っ端から投げ飛ばしていく。技を食らった戦闘員たちはバタバタと倒れる。


「む、むう……!」

「……残るはお前だけだ!」


 リクジョウレッドが雪だるま怪人をビシっと指差す。他の四人も近くに駆け寄る。


「……ふ、ふはははっ!」

「笑っている?」

「なにがおかしい!」


 スイエイブルーが首を傾げ、タイソウイエローが声を上げる。


「お前らなど、オレ一人で十分だ!」

「なにぃっ!?」

「ふん、強がりね……」


 キュウギグリーンが驚く横で、カクトウギブラックが腕を組む。


「『コルティナ・ダンペッツォの白い雪』!」

「!」


 雪だるま怪人が右手を空に掲げると、猛吹雪と強い冷気がゴリンジャーの周囲を取り巻く。


「これでお前らは手も足も出ない!」

「なにを!?」

「オレに指一本触れることすら出来ん!」

「はっ! そんなわけがないだろう!」


 雪だるま怪人の言葉をリクジョウレッドが鼻で笑う。


「ならばかかってこい!」

「行くぞ! ……! こ、これは……雪で進めない!」


 リクジョウレッドの脚がすっぽりとハマってしまい、動けなくなってしまう。


「それなら! ……!! 地面が凍っている! これじゃあ泳げないわ!」


 スイエイブルーが愕然とする。


「こっちの地面は雪だらけだ! 上手く歩けねえ!」

「こっちの地面はツルツルと滑る! 上手く走れねえ!」


 タイソウイエローとキュウギグリーンがそれぞれ頭を抱える。


「フハハハハ! はるばるイタリアはミラノまで来た甲斐があるというものだ! ゴリンジャー、お前らは飛んで火にいる夏の虫だ!」

「ちっ、雪だるまにそんなことを言われるとは……屈辱だわ」


 カクトウギブラックが悔しそうに俯く。


「このまま、お前らを凍え死にさせてくれるわ!」

「くっ……」

「覚悟しろ、ゴリンジャー!」

「……待ちな!」

「むっ!?」


 雪だるま怪人が視線を向けた先に、全身タイツを着た三人の姿があった。


「雪上を滑走! 行き着くその先は黄金! スキーゴールド!」

「氷上を滑って舞う! 白銀の夢舞台! スケートシルバー!」

「突き進む王道! 手に入れるぞ青銅! スレッドブロンズ!」



「三人揃って! スポーツ戦隊!」

「「「ゴリンジャー・トウキ!!!」」」


 三人が揃ってポーズを取る。雪だるま怪人が大いに戸惑う。


「ゴ、ゴリンジャー・トウキだと!? な、仲間がいたのか!?」


 雪だるま怪人がリクジョウレッドに視線を戻す。


「え、なにそれ、知らねえ……」

「し、知らないわね……」

「知ってるかい? グリーン?」

「知るわけがねえだろう、イエロー」

「まったくの初耳だわ……」

「お、お前らも知らんのか!?」


 リクジョウレッドたちの反応に雪だるま怪人がさらに戸惑う。


「よそ見をしている暇があるのか?」

「ん!?」

「行くぞ、『大回転』!」

「!」


 スキーゴールドと名乗った者が高い位置から凄いスピードで滑り降りてくる。スキー板と雪面から生じる圧を受けて、雪だるま怪人がよろめく。


「行くわよ! 『トリプルアクセル』!」

「!!」


 スケートシルバーと名乗った者が氷上を猛スピードで駆け抜けて、前向きに踏み切って3回転半ジャンプを決めて着地する。回転の際に生じた風圧と、着地した時の

圧を受けて、雪だるま怪人がふらつく。


「ガンガン行くぜ! 『スケルトン』!」

「!!!」


 スレッドブロンズと名乗った者が凍りで出来たコースを超スピードで走り抜ける。乗っていたソリから生じる圧を受けて、雪だるま怪人がぐらつく。


「とどめといくぞ! シルバー! ブロンズ!」

「ええ!」

「任せろ!」

「『モーグル』!」

「『スナップショット』!」

「『リュージュ』!」

「!!!?」


 スキーゴールドたちからの攻撃を立て続けに食らった雪だるま怪人はフラフラと、しばらくその辺を歩いた後、派手に爆散した。


「はっ、ざっとこんなもんだぜ……」


 笑うスキーゴールドのもとにリクジョウレッドが駆け寄ってくる。


「見事な戦いぶりだったよ!」

「それはどうも……」

「同じゴリンジャーの名を冠するもの同士、これからは共に戦おうじゃあないか!」


 リクジョウレッドが右手をスッと差し出す。


「ふん……」

「……!」


 スキーゴールドはリクジョウレッドの差し出した手を一瞥し、振り返って去って行く。スケートシルバーとスレッドブロンズもそれに従い、彼の後に続く。


「待ってくれ! ゴリンジャーの仲間じゃないのか!?」


 リクジョウレッドが声を上げる。スキーゴールドたちがゆっくりと振り返る。


「……君はやはり勘違いをしているようだね……」

「……え?」

「僕たちこそが真のゴリンジャーなんだよ!」

「!?!?!?!?!?」


 スキーゴールドが声を上げると、空に雷鳴が轟く。五人のゴリンジャーと、三人のゴリンジャー・トウキが互いを睨み合う。ミラノの街の夜は更けていく……。


<次回予告>

 ゴリンジャーの危機に颯爽と駆け付けたのはゴリンジャー・トウキという三人の謎の戦士たち。リクジョウレッドの誘いは断られてしまった……。

 そんな時、カケイブンの新たな刺客が襲来!スキーゴールドはやつらを倒した方が真のゴリンジャーを名乗るのにふさわしいだとか言い出して!?

 混乱のさなか、ゴリンジャーは正々堂々と振る舞えるのか!?

 次回! 第18話『俺が、僕が、ゴリンジャーだ!』次週もスポーツマンシップにのっとるぜ! 楽しみにしていてくれよな!

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スポーツ戦隊ゴリンジャー 阿弥陀乃トンマージ @amidanotonmaji

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