序章

 緑の葉越しに日の光が差し込み、岩の間から流れる湧き水がそれを受けてキラキラと輝く。

 そこはとても美しい場所。思い出の地。たくさんの時をここで過ごした。


 ──愛しいこの人と。


 薄い紅色の髪の男が、今まさに生涯を閉じようとしていた。

 歳は若くはないが、かと言って壮年と言うわけでもない。この男の一族は精霊の魂を受け継いでいる。そのため、ある一定の年齢に達すると、その姿をとどめたまま歳を重ねる。普通の人より長く。

 しかし、長命であっても、不死ではない。永遠の存在である精霊とは違う。必ず別れの時はやって来る。


『私は、永遠に祈ります。あなたの幸せを。精霊の祝福をあなたに──』


 大切な人の膝を枕に。優しい手のひらの心地を感じながら、ゆっくりと目を閉じる。


 私の愛した人。これからも共に──。


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