凍夜

第1話

 町の小さな小児科兼内科。その待合室は長椅子が6つ、テーブルが1セットある。その1セットを使って子供が課題に取り組まされていた。

「病院来てまで勉強したくないよ!」

 娘の訴えに対し母親は

「関係ない!勉強なさい!病気になるあなたが悪い!」

 そう言って娘の手を叩いた。娘は泣くことはせず、ただ耐え、鉛筆を置いた。

「何置いてるの⁈」

 声を無視して鉛筆をしまい、ノートと問題集を鞄にしまった。すると母親は娘の腕を引っ張り、立たせて、逆の腕を全力で叩いた。痛みの後に痺れが来た。治まる前にもう一度、二度、三度。

「なんで勉強しないの!」

「やりたくないから!」

 そう返されると引っ張った方の腕を殴った。

「バカじゃないの‼︎」

「私の意思は無視ですか⁈」

 怒鳴り返す。

「当たり前でしょう‼︎」

 それを聞いて娘は内科を出た。腕から指先にかけての感覚は消え、脚も棒のように固かった。走っていく途中で宙に浮き、宙をかき分けて遠くへ逃げた。

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凍夜 @526jdtksmwq

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