怖い話投稿
初めまして。こんばんは。怖い話です。よくある話だと思いますが、最後までお付き合いください。
先日、私の体験した怖い話をある配信者さんに取り上げていただきました。ほぼ初めての怖い話の投稿でしたので拙いところがありながらも、視聴者の皆様に怖いと言っていただいて、至極冥利に尽きる限りでした。初めての投稿を、大好きな配信者さんと視聴者の皆様に評価していただける。こんな素敵なことが嬉しくないわけがないんですよね。取り上げていただいた回の動画を幾度となく視聴しました。
十回目くらいでしょうか。またいつものように、その時の動画のアーカイブから自分の話の読まれるところまで動画をとばし、自分の好きな配信者さんの声色とトーンで自分のオリジナルの怖い話が読まれるのを聞いているときに、ふと、違和感を覚えました。あれ?場所の説明なんか書いたっけ。架空の話とはいえ、一応舞台として、私は自分が書くに当たって想像しやすいように自分の地元を舞台として想起しながら書いていたのは確かです。でもそれは裏事情というか、書きやすいから自分の地元を想像しながら書いただけで、実際はどこでもよかったので特に言及していなかったような、そういう気がします。ですが、配信者さんは投稿をそのまま忠実に読んでくれるお方ですので、私が忘れているだけで書いたのだろう、違和感は気のせいだと、その時はそう思いました。
それからです。動画の視聴の度に、何かしらの違和感を覚えるようになったのは。「あれ?登場人の説明こんな詳しくしてたっけ。」「あれ?この霊ってこんなんだったっけ。」「あれ?」「あれ?」「あれ?」違和感が疑念に変わり、疑念は確信に変わりました。なにかおかしい。絶対に私が書いてない設定が増えていってる。アーカイブ、つまり過去の記録映像のはずなのに。書いた当時は、配信当時は、先週は、昨日は、こんな設定なかったのに。そして、私は恐ろしいことに気づきました。設定が詳しくなる度に、その怖い話が私の生活環境に近づくのです。場所は私の地元に。友人は馴染みのある私の友人と同じステータスに。そして、主人公は私のような設定に。怖い話が好きで、配信者が好きな、私のような人物に。それに気づいて、アーカイブを見るのをやめました。それでも配信者さんの配信を見るのはやめられず、結局配信のある度に見てしまうのです。そして先日、私の怖い話が取り上げられました。そう、以前読んでいただいた、私の怖い話。内容の変わり続ける、私のでなくなった怖い話。すぐにコメントに「怖い話の主です。ありがたいことに、以前既にこの話を取り上げていただいてますよ。」とコメントしました。しかし、他のコメントに「似た別の話でしょ。」と一蹴されてしまいました。しかし確かに、それは私の怖い話なのです。私のだった怖い話なのです。今度は場所の説明がより鮮明になっていました。赤い屋根。白いガレージ。家の前にある空き地。幽霊の出る家は、疑いようもなく、私の家を指し示していました。私はそれに気づいてすぐ動画を止めました。怖い。怖い。怖い。こんなつもりではなかったのに。私ばっかり、どうして?なんで?ゾクゾクという背筋を伝う冷たい感覚を、心臓をキュッと捕まれたかのような息の詰まる瞬間を、身をもって体感します。私はその日、そのままベッドにくるまり、震えながら寝ました。
翌日目を覚ましたとき、幸い私を支配していた恐怖は幾分かマシになっていました。階段を降りて洗面台に向かい、冷たい水で顔を洗って目を覚まします。大丈夫。昨日の配信はたまたま似たような話を取り上げただけ。あるいはもしかしたら夢だったかもしれない。自分を説得するようにそう心の中で繰り返しながらリビングに向かいました。
「どうしたの?すごく怖い顔をしてるけど。」
リビングで母親にそう声をかけられ、私はとうとう泣いてしまいました。そこで初めて事情を説明しました。母親は真剣な顔をして、「お祓いに行くわよ。」とスマホでそういうのに頼れる場所を調べてくれて、心底私は母親に感謝したのを覚えています。お祓いは隣の市にある、そういうのに著名な神社へ、次の日の朝に行く事になりました。実害が今のところ出てないことと、相談できて心が軽くなったので、この日は学校に行く事にしました。というかむしろ、共働きで誰もいない家に一人で留守番してる方が耐えられませんでした。登校までの道を足早に歩き、友達を見てまた勝手に泣きそうになったのを悟られないようにしつつ、おはよう、と声をかけました。
「おはよう。超眠い。寝不足だ~。」
「どうしたの?」
ポニーテールがトレードマークの、背が高い友達が眠そうに瞼を擦っていたものだから、思わずそう聞いてしまいました。
「昨日遅くまで○○さんの配信見てて。見た?昨日の」
「やめて!」
誰よりも好きだったはずの配信者さんの名前をきいて、思わずそう叫んでしまいました。でも、それくらいもう、私の心は限界で、その類いの話を聞きたくなかったのです。しかし、友人は私の叫びを無視して、話し始めたのです。
「初めまして。こんばんは。本当にあった怖い話です。よくある話だと思いますが、最後までお付き合いください。」
もう何回も聞いた冒頭を、私は友人の口から聞きました。友人はどこか虚ろな表情をしていて、私は怖くなって逃げだしてしまいました。別のショートカットのよく似合う友人に、「サキちゃんが変なの助けて!」と声を書けようとして、気づきました。彼女もまた、虚ろな目をして、なにかぶつぶつ喋っているのです。そしてそれもまた、私のだった怖い話なのです。
「十回目くらいでしょうか。6月7日のことです。またいつものように、その時の動画のアーカイブから自分の話の読まれるところまで動画をとばし、自分の好きな配信者さんの声色とトーンで自分のオリジナルの怖い話が読まれるのを聞いているときに、ふと、違和感を覚えました。」
怖くなって、走って逃げ出しました。学校から出て、赤い屋根の私の家に駆け込み、階段をかけあがって私の部屋に飛び込みました。そしてふと、この状況に既視感があることに気づきます。
「友達が変になって、自分の部屋まで走って逃げて、それで……確か……窓が……」
思い出すのとほぼ同時に、コンコン、と自分の部屋の窓がノックされました。階段を駆け上がった先にある、2階にある、私の部屋の窓が。私は怖くて、窓の方を確認することなんて到底できず、上から布団を被ります。そうしている間も、コンコン、コンコンと窓はノックされ続けます。恐怖で半ば過呼吸になりながら、この後の展開ってなんだっけ。私はそう必死に、もう思い出したくもない自分の書いた怖い話を思い出します。たしか今度はインターホンがなって。
「ピンポーン。」
インターホンがたくさんなって。
「ピンポーン」「ピンポーン」「ピンポーン」「ピンポーン」
私は慌てて帰ったから、鍵を閉め忘れてて。
「ガチャガチャッ……」「ガチャ」
それでそれで、家に入ったナニカが階段を上がってきて。
「ドス。ドス。ドス。」
呼吸が荒くなる。息をするのが苦しくなる。なんだっけなんだっけなんだっけ。どうすれば怖い話からぬけれる?私が書いてないことってなんだ。私が怖い話の中でやらなかったことってなんだ。
「ドス。ドス。ドス。」
ナニカ、が階段を上がりきったのを感じます。そしてそれは私の部屋へ迷わず向かってきて。
「ガチャ」
私の部屋のドアを空けます。チラリと隙間から盗み見たそれは、私の書いた創作通りの、しかし私が想像していたよりずっと怖い、身体中御札だらけで髪の長い、女の人でした。私はそこで気絶しました。
という話を先日投稿しました。今回わざわざその話をなぞって同じ話を投稿し、そこに後日談としてこのような形で投稿したのは、前回の投稿した話はすべて削除させていただいて、私自身もお祓いを済ませたからです。本当はこのような投稿も避けた方がいいのだと思いますが、その後どうなったかを、私の安否も含めてご報告させていただきたかったからです。後日談を投稿している時点である程度察しは付いていそうですが、私は無事でした。先日の怖い話では登場人物……というか登場人物になった私は布団の中で震えることしかできず、あのナニカに呪われて死ぬ話でした。私は必死の抵抗として自分の怖い話の原稿用紙をビリビリにちぎって手元のデータも削除し、隠れる場所を押し入れに変えて、震えていました。どっちが効果があったのか分からないですが、気絶したあと、目を覚ましたときはもうナニカは消えていて、本来であれば呪いによりうなされるはずだった高熱に襲われることもありませんでした。お祓いでは神主さんに間一髪だったと言わしめるほどギリギリだったそうです。あれから私は自分で怖い話を書くことは一切していません。皆さんも、自分で怖い話を執筆するときは注意してください。自分の作品にあまりにも見入ると、同じように自分の作品に魅入られる可能性がありますから。
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