第19話 ◇再戦
「対戦、よろしくお願いします。アリャン先輩」
「再戦というのに槍じゃなくて短剣で良かったのか?」
「はい。色々な武器でやりあうのも醍醐味だし」
「なら良いか。後で文句言うなよ」
「言わないから。そっちこそ手加減したとか言うなよ」
神威とアリャン先輩はそんなことを言い合いながらバチバチと闘志を燃やしているように見えるわ。そうして、お互いに距離を取り始める。その様子を私とミーシア先輩が縁側に座って見届けている。
「わざわざ天鈴ちゃんまで来る必要あったんですか?」
「来るつもりは本来無かったですわ」
「じゃあ、どうして来たのですか?」
「・・・・・・心配になったのですわ」
「心配・・・・ですか?」
「えぇ。少し見たら分かると思いますが彼、少し自己犠牲が過ぎるんですの」
私はミーシア先輩の疑問の声に頷きながら肯定した。そう話しているうちに彼らの方は戦い始めてますわね。お互いに駆け出して刀と短剣をぶつけていますわ。その際に激しくぶつかった影響で火花が散っていますわね。
「あまり彼にその様子は見えませんよ?」
「まだ出会って少ししか経ってないからそう見えるだけですわ。一緒に戦ってみると彼は自ら先陣を切っていきますわよ」
「確かにそんな感じはしますね」
「それだけならまだ分かりますわ。けれど、大きな怪我じゃない限り中々下がろうとしないのですわ」
私はミーシア先輩に説明するように彼のことを教えていきますわ。彼らは、あれから一度距離を置き神威は刀に火の力をまとわせましたわ。神威は刀を横にして右に払って斬撃を飛ばしましたわ。火をまとった斬撃がアリャン先輩に襲い掛かり、アリャン先輩はその斬撃に自ら近づいていき跳んで躱しましたわ。躱した後は前屈みになって一気に距離を詰めて彼の懐に潜り込んでは横腹目掛けて短剣を振りかざしましたわ。彼は右足をあげて短剣の刀身に膝をあてて軌道を逸らしましたが右脇下ぐらいをザシュッと斬られましたわ。彼は痛みを耐えながらアリャン先輩に向けて刀を振り下ろしたけど、アリャン先輩はバク転をしながら足で刀を弾きましたわ。
「今のような感じですわね」
「なるほど。確かに彼は多少犠牲にしても痛みに耐えて取りに行きましたね」
「あぁいうのが多いので私は心配するのですわ」
「確かにアレだと心配しますね」
「だから着いてきたのですわ」
弾かれた神威は一瞬驚きに目を見開きましたがすぐに落ち着きましたわ。お互いにまた距離を取って落ち着こうとしていますわね。先に攻撃を仕掛けにかかったのはアリャン先輩ですわ。アリャン先輩が短剣特有の素早い動きで神威を翻弄しにかかってますわね。見てると本当に縦横無尽に動いては時折攻撃を仕掛けていますわね。神威は仕掛けられる攻撃に対して防戦一方になりつつありますわね。一応カウンター形式で反撃していますがヒラリと躱されていますわ。
「神威くん押され気味ですね」
「そうですわね。でも、負けてもいいとは思いますわ」
「それはどうしてです?」
「それも経験となりますわ。アマテラス様から聞きましたが神威は真剣勝負といったことをしたことないみたいですから。怪物との戦いでも負けることは少なかったみたいですわ。ですから、負けるのも経験になるでしょう?」
「でも初めての戦いが黒星スタートで大丈夫でしょうか?」
「そこは大丈夫だとアマテラス様達もおっしゃってましたし信用しましょう。それにタケミカヅチ様も負けたら負けたで鍛練を増やすのみとも」
そんなことを話している間に神威の傷は先程よりも多くなっていますわ。今でも神威は防戦一方で攻めあぐねていますわね。このままだと何かしない限り神威がそのまま負けそうですわ。そう思っていますと神威が目を閉じましたわ。
「誰よりも早く駆け抜けろ・・・・!〈
彼は目をつぶってすぐにそう唱えましたわ。それは私も使える身体強化ですわ。〈
「天鈴ちゃん、アレが何か知っていますか?」
「アレは身体強化ですわね。“日本式の”というのがつきますけど」
「アレが日本の身体強化ですね・・・・。四字熟語を使うんですね」
「えぇ。アレはよくある身体強化と速さに特化させた身体強化ですわ」
「そうなんですね。今度そういう交流をしてみるのもありですかもしれませんね」
「そうですわね」
身体強化をした神威は強引に抜けていこうと駆け出しましたわ。流石にアリャン先輩も簡単に抜かせるわけもなく並走するようにして攻撃を与えようとしましたわ。しかし、身体強化を二乗させた神威には及ばず抜け出されましたわ。抜け出した後はお互いが距離を置いて見合う形になりましたわ。
「天鈴ちゃんはこの後どうすると思いますか?」
「・・・・なんとなくですけど次の一撃が決着となりそうですわ」
「わたしも同じ考えですよ。でも、どう転がろうともわたし達は彼らを回復することに変わりませんから」
「ですわね」
そんな雰囲気が漂う中、神威は抜刀の準備のために刀を鞘に入れて、左足を後ろにして前屈みになりましたわ。右手は刀の持ち手を握り、左手は鞘の真ん中よりも少し上を握っていますわ。対して、アリャン先輩は今まで順手で持っていた短剣を逆手に持って前屈みになっていますわ。辺りが静かになり、私達も息を飲む。
そこへ一陣の風が吹く。
それと同時にまず、アリャン先輩が疾風のごとく駆け出しましたわ。神威はある程度の距離になるまで微動だにしていませんわ。5mくらいの距離になると神威も刀を抜刀しましたわ。お互いが交差し、神威は前屈みの状態で刀が前に出ている状態で固まり、アリャン先輩は逆手で短剣を持ち前屈みで固まっている。
先に倒れたのは神威の方でしたわ。アリャン先輩は振り返って一言。
「強かったけど・・・・今はまだ俺の方が上だ。精進しなよ」
アリャン先輩はその一言を言うとドサッと地面に座り込みましたわ。アリャン先輩のことを見てみると彼もギリギリだったということが分かるほどの傷の深さだった。ミーシア先輩はフワリと立ち上がりアリャン先輩の元へと近づいて行きましたわ。
───って私も見てる場合じゃありませんでしたわ!
「神威!」
私は急いで立ち上がって倒れた神威の元へと駆けましたわ。
駆け寄った神威のことをよく見ると左脇が短剣によって斬られ、至る所に傷がある状態でしたわ。私は回復させるために彼の隣に座って彼の体の上に手をかざしましたわ。そうすると、すぐに彼の下に円の中に
「・・・・・・なるほど。負けたんだな・・・・俺は。鳳凰、悪い。ありがとう」
彼は起きてすぐに周りを確認してどうなったのかを把握して私にお礼を言いましたわ。その後、彼はすぐに立ち上がりましたがフラつき倒れそうになったのですわ。ですので、私が彼を支えるように動きました。
「・・・・・・ごめん」
彼は私に支えてもらった罪悪感からなのか私に謝ってきましたわ。
───別に問題無いのに。それこそ、さっきまで傷が多かったのだから倒れそうになるのは当然ですわ。
彼は、今は離す力もないのか私に支えられたままですわ。そんな彼は私に一度断りを入れてから私を支えにしてミーシア先輩達のところへと向かいますの。
「対戦、ありがとうございました。アリャン先輩」
「今回は俺の勝ちだが次はどうなるか分からないからな」
「はい。次“は”勝つから」
「次“も”勝つぜ」
二人は手を握っていながらもいつ戦いが始まってもおかしくない雰囲気を出しているの。
「プッ・・・・アハハハハ」
そう思えば彼らは急に笑い出しましたわ。私はこの急展開についていけず、ただただ困惑している。
「頼りにしてるぞ、後輩」
「見本にさせてくださいよ、先輩」
神威とアリャン先輩は手を離して、手をグーにして互いの拳をコツンと当てた。
───スポーツ漫画?男子の友情って感じはするのですが・・・・・・。
そう思った私は悪くないはずだわ。ここは漫画の世界でもスポーツの話でもないはずなのに。
「スッキリしましたか?二人とも」
「あぁ」
「はい」
「フフッ。二人は今日しっかりと休んでくださいよ」
ミーシア先輩は二人に聞くと、二人は頷いて返した。私はそんな先輩を見ながら憧れを覚えた。
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