第13話 ◇先輩
「ほら、神威君。動こうとしたらダメ。今はちゃんと私に回復させて。大丈夫、ゼロは負けないから」
私は魔法で神威君のことを回復させながら諭すように言う。神威君は複雑な顔で私のことを見てはゼロの方へと目を移す。体はウズウズさせている。私は行かせないように片手で抑えて、空いてる手で傷を回復している。
「ふふっ。そんなに行きたいの?」
「だ、だって・・・・」
「大丈夫だよ。ゼロは神威君が思うほど弱くないよ。それに・・・・神威君よりも数年早く特訓してるんだから私達のこと舐めないでよね」
「・・・・・・アーシャ先輩・・・・」
私はウズウズしている神威君のことを見て笑ってしまう。普段の神威君だといつも冷静で、年不相応な態度だけど今は年相応な顔と声色になってるんだから。もしかしたら心配してるだけなのかも知れないけどね。
「それにしても手酷くやられたね」
「・・・・・・油断してました・・・・」
「もー、私達がやるのは人外との戦いだとしても死と隣り合わせなんだから油断したらメッ!だよ?」
「・・・・・・はい・・・・」
「確かに私達でも慢心して傷を負うこともあるよ?けど、その後すぐに意識を切り替えないと今回みたいなことになるよ」
神威君は私が傷を見ながら回復している最中に呟いた一言に返してくれた。私は彼が返してきた言葉に少し驚きながらも優しく怒る。そしたらシュンと効果音が付きそうなほど顔を落とした。
神威君って達観してるように見えて意外と年相応みたいだね。こうやって怒られたらショボンとするところとか普段の神威君からしたらとっても意外。
「・・・・見てたんですか?」
「ううん。私達は見てないよ」
「・・・・え・・・?でも見てたかのように言って」
「神威君よりも少し場数は踏んでるからね。そこから推測することはできるよ?」
「え、えぇ・・・・・・」
彼は私の回答に驚いてバッと顔を上げた。私は理由を返したら、声を出しては困惑された。
「んーまっ、これも先輩だからってことで」
「そうですか・・・・・・」
神威君は納得したような、してないような声色と表情で私のことを見た。けれど、すぐにゼロの方へと意識と視線を向けた。私もある程度、神威君の傷が癒えてきたからゼロの方へと視線を向ける。
ゼロは今、マントを羽織ったスケルトンの周りにいた部下スケルトンを倒しきったところ。そのリーダーであろうスケルトンは周りのスケルトンが倒しきられたことに一瞬驚いていたけど、すぐにゼロに傷を負わせようとしてきた。
ゼロはその攻撃を槍で弾いて距離をおいた。ゼロを見てみると少し息が上がってるようにみえた。多分ゼロは息を整えるために距離をとったんだね。
そして、ゼロとスケルトンはお互いを見合っては駆け出した。どうしても槍と剣だとリーチの差があるため近づくとゼロが先に攻撃を仕掛けた。スケルトンはそれに対処するために剣先を槍に当てて攻撃箇所をズラした。
スケルトンは当てた後そのまま流れるように剣を振ってきた。ゼロはその攻撃をしゃがんで躱す。躱した後は足払いをしようとしたのか、ゼロは足をスケルトンに向けて回した。スケルトンにその攻撃を与えてバランスを崩させる。
私はチラッと神威君のことを見てみる。
「凄い・・・・・・凄い・・・・!」
神威君は目をキラキラさせてゼロの戦闘に見入っていた。私はそんな神威君のことを見てクスッと笑う。その声に反応した神威君は不思議にこっちを見てきたけど、何も無かったと思ったみたいでまたゼロの方へと向いた。
「・・・あっ!?」
すると突然、神威君が焦った声を上げた。そのことを不思議に思い、私もゼロの方を見る。見た先の光景は、スケルトンの攻撃によってゼロの手から槍が離されていた様子だった。私は見て納得し、神威君に声をかける。
「大丈夫だよ。ゼロはあれくらいで負けるほど弱くないよ」
「え?」
私はゼロ達の方を見ながら神威君に教える。神威君は不思議そうな顔で私を見てきたため、私はゼロのことを見るように促す。
ゼロの手から槍を弾いたスケルトンはニヤリと笑みを浮かべ剣を振りかざした。普通なら何も出来ずに傷を負ったり、最悪死に至るだろうけど相手が悪かったね。相手は神話の中でも有名なギリシャ。それくらいじゃ、ギリシャの牙城は崩せない。
「・・・・・・え!?え!?どういうこと!?」
神威君は今、ゼロが起こした光景に目を見開いて驚いている。それはそうなるだろうね。だって神威君からしたら手から槍を取られ無防備なところを狙われて負けるところだったんだから。でも、その次の瞬間にはスケルトンの裏手に回り込んでいて、スケルトンは炎の槍を刺されて塵になっているんだからね。
驚いている神威君をよそに戻ってきたゼロに声をかける。
「お疲れ様、ゼロ。今回も無事に倒せたね」
「そうだね。神威、傷の方は大丈夫?」
「だ、大丈夫です!って、そうじゃなくて今のどういうことですか!?」
ゼロは何事もなかったかのように槍を消しながら戻ってきて、神威君に怪我の具合はどうかと尋ねた。神威君は立ち上がってゼロに詰め寄る。神威君はさっきの光景に驚いていたため少し反応が遅れてるね。それに加えてさっきのことを聞いてるから私と違って神威君には見えなかったみたい。
「あれ?神威、分からなかった?」
「・・・・・・悪いですか」
「ううん、問題ないよ」
「神威君、神威君。ゼロはただ早く動いただけだよ」
「・・・・・・え?」
「ほら、こんな風に・・・・ね!」
私は立ち上がって、ゼロがしたことを証明するように動く。さっき説明した通り素早く回り込むだけだけどね。私は回り込んで神威君の肩をガシッと掴む。
「えっ!?」
「ね!簡単でしょ?」
「いやいやいや、分からなかったんですけど!?」
「アーシャ、それじゃあダメだよ。ちゃんと説明して実践して見せないと」
「うっ・・・・はーい」
ありゃりゃ、ゼロに怒られちゃった。私は神威君に見せびらかすようにして動いて肩を掴んだけど神威君には分からなかったみたい。そのせいか、神威君には理解してもらえなかった。
「それじゃあ張本人ー、説明してよ」
「それくらいするよ。それじゃあ、神威説明するよ」
「お願いします」
私は神威君の後ろからヒョコっと顔を出して、ゼロに説明することを丸投げする。ゼロは一瞬私のことを見てきたけど、すぐに神威君の方へと向き合う。神威君は説明すると言われて頭を下げる。私は頭を上げた神威君の背中を押す。
「それじゃあさっき僕がしたことだけどね」
「はい!」
「僕は身体に雷の力を纏わせて体を早く動かしたんだ」
「え?」
「そうそう。だから相手から見えないほどの速さで動けたわけだね」
「な、なるほど・・・!」
神威君はゼロに言われたことに最初は驚きの声をあげた。けど、すぐに納得した表情になってはコクコクと頷いている。
「さてと、ここで問題だよ。ゼロはどこの神話の子でしょーか?回答は1回だけだからね」
「え?えー?う〜ん・・・・武器は槍で、雷・炎を使える・・・・」
「うんうん、そうだねー」
私が神威君の呟いてることに相槌を打っている。その後、少し神威君は考えるために黙った。
「・・・・・・槍を扱って雷・炎を思うがままに操れる。・・・・・・そうなると知識や戦い、魔法などを司る
「神威・・・・・・残念。ハズレだよ」
「北欧神話の神から寵愛を受けてるのは私、アリシャ・オーリスだよ」
「えっ、じゃあ、ギリシャ・・・・ですか?」
「当たりだよ。僕はギリシャ及び同一神のローマから受けてるよ」
神威君は自分の思考から浮上してきて、ゼロに答えを言う。出た答えは北欧神話。だけど、それは私だね。残念。そのことを神威君に伝えたら驚いて、すぐに答えを出した。出たのは天空を司る
「えっ!?」
「アハハッ。オーディン様やゼウス様達に聞いた通り驚いてるね」
「え!?て、ていうか、聞いてたってどういうことですか!?」
「それはどっちのことを言ってる?今、アーシャが言ったこと?それとも戦う前に言った言葉?」
「戦う直前の言葉です!!今の言葉はなんとなく分かるので・・・・」
神威君は自分で答えておきながら驚いてる。その後、私が言ったことにも驚きつつも質問してくる。ゼロは私が言った方か、ゼロが言った方のことかを首を傾げて聞いている。神威君は詰め寄りながら答える。
「神託・・・・・・だね!ギリシャのデルフォイの神託」
「神託はなんて言って・・・・?」
「『満月の夜 全神の
「まだ分かりやすいやつですね・・・?」
「だね」
詰め寄られてるゼロの代わりに私が答える。デルフォイの神託とは古代ギリシャでとある神殿にて下される神託。オリンポス十二神が一柱の太陽や予言を司る《アポロン》が人を使って伝える予言。今ではそんなことをする必要がないからアポロン様から直接伝えられるけど。その神託の内容をゼロから神威君にも伝える。神威君も神託のこと自体は知ってたようだからそんな言葉を首を傾げて言ってきた。それに私は頷いた。
「まぁ、ともかく今度俺以外とも交流しておきましょう。今、知ってるメンバーは俺達五年のみです。そのメンバーは日本、エジプト、マヤ・アステカです」
「分かったよ。それじゃあ近いうちにそうしよっか」
「はい。あ、ちなみに五年はこの前の俺を含めた四人ですから」
「へぇー!そんなこと起こるんだね」
「それじゃあ3人には伝えておきます」
「申し訳ないけどお願いするよ」
「はい!」
神威君が3人に伝えてくれることになったから私達は特にする必要がなかったね。にしても、驚いた。まさかこれで主要神話のほとんどのメンバーが揃ってるんだからね。あと、居ないのはドイツとケルトかな?5年と中1にいるから意外と6年もいそうだね!
その後、
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