第2話 ◆捨てられていたワケ

カタカタカタ。

カタカタカタ。


フォン……………ブォン………。


「あんた、ちょっとは休憩しなさいよ……」


先程の会議の後、老人は老女に言われた通りに拾った赤子のことを調べている。

老人は空中に白いモヤを浮かべては打ち込み、消す、といった行為を何度も何度も繰り返す。


老女は会議後ずっと確かめている老人に休憩を促すが、集中しているのか返事は無く確かめ続けている。


「…………これじゃ……」


そうして探し続けていてとある家族を見つけた。

その家族とは、数日前にある病院から双子の子供の兄が攫われてしまい今も尚探し続けているところだった。


「その日本の家族がそうなのかい?」


老女が老人の隣にやってきてその画面を注視する。老女はその隣の宙にまた別の白いモヤを出す。すると、そのモヤは長方形の形をつくりその中に映像が流れ始める。


その映像の中では先程見つけた家族が集まってソワソワしている。



「………子が攫われたからそうなるのも分かるが少し落ち着け。儂のツテを使って探しておるから見つからないってことは限りなく低かろうて」

「で、ですがお義父さんあの子も生まれて数ヶ月すら経ってないですよ!?」

「そうだよ父さん!?それに家は世界から見ても経済力・影響力が高いんだよ!?」

「それは私も否定はしないがアンタら2人ともがそんなんでどうするつもりだい?アンタらの子は神威だけじゃなく妹である楓香のこともあるんだからそこんところもしっかりしな」

「「……ッ!」」


ある家族が攫われた子供の話しをしているようだ。赤子の親であろう夫婦は自分の子供が攫われたことにより部屋の中を右往左往している。男性の親………赤子にとって祖父母にあたる人物が赤子の両親を宥めるように話している。そうして祖母に諭され、自分達の役目を再認識させられる。

再認識したタイミングで隣の部屋から赤子の声が聞こえる。

どうやら先程の話し合っていた中に出てきた赤子が目覚めたようだ。赤子が泣くのは空腹や寂しさ、かゆみに要求といった様々な要因があるが今回泣いたのもそのどれかだろう。

老夫婦は自分達にとっての孫をあやしにいった息子夫婦のことを見送りながら話す。


「見つかったのかい?」

「攫った奴らは見つけたが………孫は追われている最中にどこかに捨てられたようだ。通った周辺を探っておるが中々見つからん」

「そうなのかい……。この事をあの二人には」

「言うわけないだろう。それに誰かが拾ってくれたかも知れないのだからな。だからまだまだ探す必要がある」

「……そうだね」


老人は右手でその作り出したモヤを追い払うかのように手を振りモヤを消す。


「どうするんだい?」

「まずは日本の最高神に連絡を取り返答後すぐにヘルメスとモルペウスの力を借りてあの人間らに伝えようと思っておる」

「なるほどねぇ………。まぁそれが妥当になるか」


そうすると、老人はすぐに虹の女神イリスと伝令の神ヘルメスが主導として各世界の神と合同で開発された神々の連絡網ことゴッドネットワークを使い日本の最高神である天照大御神アマテラスオオミカミにアポイントメントを取る。


それにより、さほど時間が経たないうちに天照大御神と繋がり丸型の鏡のようなものが目の前に形成され中には巫女服の女性の姿が映る。


「ゼウス様?それにヘラ様も……。本日は急に連絡をとってきましたが……どうかされました?」

「前の会議で言ってた子なんじゃがの………」

「もしかして日本の子だったんですか?」


老人ことギリシャ神話最高神ゼウスが妻のヘラと共に天照大御神に連絡を繋げると早速とばかりに本題に入る。ゼウスは苦笑いしながら今回連絡に至ったことを天照大御神アマテラスオオミカミに伝える。天照大御神《アマテラスオオミカミ》はゼウスが途中でとぎった言葉の先を読み推測の予想を言う。


「そうじゃ。それでの……その家族を見つけたからの。少しそっちの国に降りて子のことを伝えて来てもいいかという許可の連絡じゃ」

「えぇ。それなら問題ないですが……わざわざ取る必要ってありましたか?」

「一応じゃ、一応」

「なるほど………どう降りるつもりですか?『神憑き』ですか?それともご自身が?」


天照大御神はゼウスの答えを聞いて次にどうその家族に伝えるのかを聞いた。彼女が思いあたった2種類の方法、“『神憑き』という神が人間に憑依して伝える方法”と“自身が降りて直接伝える方法”のどちらを使うのか聞く。

その疑問にゼウスではなく妻のヘラが先に答えた。


「自身が夢を繋いでその後神棚から降りるようにするつもりみたいだよ」

「そうですか……。…………私の力を貸しましょうか?」

「いや、問題ないわい。こちらで全て終わらせるつもりじゃ」

「分かりました。気をつけて」

「ありがとうの」


その言葉を最後に丸型の鏡のようなものは下から燃えたように黒い塵を出しながら崩れさっていく。


ゼウスはそれを確認して先程名前が出てきた神……神々の伝令使として広く知られているオリンポス十二神が一神。伝令のヘルメス

夢の神として知られている《モルペウス》を呼び出す。


すぐにゼウスとヘラの前にヘルメスとモルペウスが現れる。


「個人的に呼び出すほどの用は?」

「お呼びでしょうか?ゼウス様」


先に声を発したのは灰色の服を纏い、蛇が螺旋状に絡んでいる杖を手に持って現れた伝令神の《ヘルメス》。

その後に続いて声を発したのはケシの花の柄が入っている黒の服を着ている夢のモルペウス


ゼウスは現れた二人のこと確認してから口を開ける。


「二人には夢を繋げて儂の声を届かせて欲しい人の家族がいるんじゃ」

「ゼウス様が直接……ですか?」

「そうじゃ」


モルペウスがゼウスの言ったことに疑問に思い首をかしげながら問い返す。

それに対してゼウスは頷きながら肯定する。


「後ほど詳しい話しがあるんですよね?」

「もちろんじゃ」

「なら、いいです」


ヘルメスも今回の呼び出しのことを不思議に思っていたようでゼウスにいずれ今回の呼び出したことに関して説明があるかどうかを尋ねた。ゼウスは先程と同じように頷いて肯定した。

ヘルメスはそれ以上聞くつもりはなかったようでその返答で追求するのをやめた。


「なら、モルペウスが繋いだ夢を僕の力を使って伝えるということですか……」

「話が早くて助かるのぉ」

「ならゼウス様、ヘルメス様。早速繋げましょうか」


二神はそう判断するとすぐにその人物に繋げるための準備に入る。


最高神とその妻はその行動を眺めながら待機していた。




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