同じ画面

活呑

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先輩はかっこいい。


これは、おそらく僕だけの感想ではないはずだ。

キリッとしてる。後輩たちからの質問にも笑顔で対応してる。表情も豊かだ。笑い方も品があるし、スタイルも…これはセクハラだった。


ともかく、先輩は部署の華だ。


そんな先輩と二人…残業することになってしまった。


原因は僕のちょったしたミス。申し訳なくて仕方がないが、職場に二人きりというハプニングは地味に嬉しい。じゃなくて、挽回しなければ。



時計の針の進む音、キーボードをタイプする音が、静かな空間に響く。ついでに僕の心臓の音も。


ふと、先輩のタイプ音がとまった。

「………」

先輩が何か小声でつぶやいた。

重要な話のはずなのに、心臓の音が邪魔で聞き取れない。いっそ心臓止まってくれれば良いのに。


「ここの数字ね」

ようやく聞こえた。

「宮本くん、ここの数字。一桁間違ってるわ。これを直せば、ほら、全体の数字も合うようになった」

「ほ、ほんとですか…?よかったー」

あなたは神か。いや女神だった。

「あとは、同じミスがないかを確認して終わりましょう。それでも終電まで、ギリギリよ」

「はい、ありがとうございます!」


そう、先輩はかっこいい。キリッとしてる。後輩たちからの質問にも笑顔で対応している。表情も豊かだ。笑い方も品がある。


なんとしても、先輩を終電までには解放しなければ。


二人同時に、手がとまった。

お互い振り返り、顔を見合わせた。


「問題なかったわよ」

「問題ありませんでした」


達成感。柔らかい光が差してきたようだった。


「じゃあ、急いで帰宅準備。電車に間に合わせないとね。」

「はい!」


仕事ではあった。


それでも、先輩と共有した時間だった。


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