4-13

 メルセデスは剣による直接攻撃の他に、周りの植物を操って種をまき散らしてナズナ達の視界を遮ったり、蔓を鞭のようにしならせてナズナ達の動きを封じようとして阻害する。そのおかげでなかなか彼女本体に近づくことが出来ない。

今は神威の風の魔法でどうにか防いでいるが、このままでは悪戯に魔力を消耗するだけである。


「何とか打開しないと…」


ヴィルヘルムはそう呟きながらも神威が取りこぼした種を盾で防ぎつつ、向かってくる蔓を剣で薙ぎ払う。

 それにしても一体何故メルセデスはこのようになってしまったのだろうか。

彼女がそうなってしまった原因をナズナは理解していたが、その源がどこにあるのかを把握出来ないでいた。それを見つけ、取り除けばおそらく彼女は正気に戻るはずである。

ナズナの考えに呼応してエリゴスが彼女の中から叫んだ。


『小僧!鳥の姿になってナズナと同調しろ!』


『ええ?!でも今私が離れればナズナ達が無防備になりますよ?!』


『ナズナを守るためにこいつらを同行させたのだろうが!

 とやかく言う前に同調してあの精霊の娘がおかしくなった原因を探してこい!』


「よく分からないけど、今はナズナを守ればいいのですね?ナズナ、頼んだよ。でもなるべく急いでね」


「はい!」


珍しく空気を読んでエリゴスに従い、ヴィルヘルムは従妹を守るために彼女の前に立った。一旦深呼吸をし、ナズナは意識を集中して神威と同調する。

 人型から半透明の鳥の姿となった神威が気配を消してメルセデスの前に移動し、目を凝らす。気を落ち着かせ、冷静さを取り戻したところで神威はようやく彼女の異変の原因に気が付いた。


『ナズナの記憶の欠片…!』


「え?!まじで?!」


神威の声にソルーシュが反応する。ナズナの記憶の欠片には精霊をおかしくさせる何かがあるのだろうか。

とにかくメルセデスがおかしくなった原因は分かったが、問題はそれがどこにあるのか。神威とナズナはさらに集中して彼女を探る。


『ありました!』


 ナズナの記憶の欠片は、メルセデスが纏う銀の鎧の下にあるらしい。となると、どうしても彼女の動きを止めねばならずこのまま戦わなければならない。神威を呼び戻し、ナズナは再びエリゴスを召喚する。

まずはメルセデスの周りにある植物達の動きを止めねばならない。それはナズナとエリゴスの役目だ。本体であるメルセデスはヴィルヘルムとソルーシュが迎え撃つ。

 ナズナはエリゴスの力を借りて炎の魔法を発動させた。この美しい植物達を焼くのは気が引けたが、止むを得ない。

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