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 現当主であるマティウス=レネ=ミッターマイヤーの脇を正妻と愛妾が固め、その子供達がナズナの近くに座っていた。

当主であるマティウスはナズナの父と同じ四大将軍の一人で、彼女とも一応面識がある。だがどうも苦手な人だ。父と話している彼はやたらと威圧的だったのを今も覚えている。


「やあビスマルク公のご息女。一人前おめでとう」


「閣下、いつも父がお世話になっております。本日は私めのためにご出席頂きありがとうございました」


「そう怯えないで楽にしてくれたまえ。君達とは今後とも仲良くしていきたいからね」


ミッターマイヤー家当主の含みのある物言いに気づいたのはソルーシュだけだった。

気づかないナズナはその言葉を素直に受け止めつつも、何と返せばいいのか分からなかったため曖昧に微笑んでおく。

次にマティウスは自分の子供達を順に紹介した。


「ビスマルク嬢、私の息子達を紹介しよう。こちらが長男のエミールで、その隣に座っているのが次男のジェラルドだ。

 二人とも騎士団に所属している」


紹介された長男のエミールは人の悪い笑みを浮かべてナズナに一礼し、次男のジェラルドは仏頂面で軽く会釈をした。

息子達の紹介が終わると、次は娘達の紹介に入る。


「あちらから長女のクララ、次女のエッダ、三女のイリスだ。女同士仲良くしてやってくれたまえ」


三姉妹達は父の紹介に会わせて優雅に頭を下げた。その際、件のエッダとイリスは普通で、先程感じた視線が嘘のように思えるほどである。

不思議に思いつつも失礼がないように挨拶を切り上げ、ナズナ達は次へ向かった。



 一通り挨拶を終えてナズナ達は自分の席に戻ってきて一息吐いた。

腹ごしらえをするために、テーブルに並べられている食事に手を付け始める。

食事をしている間は誰かが挨拶に来ることもダンスの誘いに来ることもないのだ。豪華で手の込んだ料理を口つけながらソルーシュはナズナに尋ねた。


「どうです、ナズナ姫。楽しめていますか?」


「はい!とっても!」


心の底から楽しそうに返事をするナズナにつられてヴィルヘルムもソルーシュも表情が緩んだ。その言葉が彼らにとって何よりも嬉しい。

食事を終えると、それを見計らったかのように遠巻きに見ていた他の貴族達がナズナの元へ我先にとやってくる。来た順にうまくあしらい、ある程度区切りがついたところでナズナは立ち上がった。


 いよいよ王子とのダンスの時間だ。

ドレスの裾を掴み、ナズナは王子の元へ向かう。

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