きみの手を握りたい
白千ロク
本編
今日こそ決める! と決意してから早2週間。なんと! 1日目から挫折してしまった私はただの雑魚ですがなにか?
たかだか、そう、ただ手を握りたいだけ。隣を歩く彼の手を握りたいだけなのに! 緊張して上手くいかないの!
手を繋ぐ事自体はずっと昔からやってきたことなのに、成長するに連れてからかわれたりしてきたから変に意識してしまうこともあった。あったんだけど、ここまで意識することなんてなかったというのに。
幼馴染の友人から自然とそんな雰囲気――彼氏彼女となったわけなんだけど、一大イベントだろう『告白』を経てないから彼氏彼女なのかいまいち解らない。デートもお互いの家だし。いまは冬だから遠出したくないんだよ、私は。こんなことを考えしまうから雑魚のままなのかな?
コートにマフラーに耳当てと手袋。完璧な防寒姿なのはスラックスを含めてだ。この学校の女子生徒用の制服はスカートとスラックスとが選べるから、迷わずスラックス一択だった。冬を見越しての一択である。寒いのは嫌なので! それと、それとさ、男子生徒用の制服のスラックスとお揃いになるじゃないですか? 気づいたのはお互いの制服姿を見たあとだけど!
横目で見る彼は普段と同じく機嫌がよさげ。防寒は私と同じだけど、寒いものは寒いのにこの寒さに負けないぐらいに今日もご機嫌なのが羨ましい。私はどうにかして手を! 繋ぎたいのに!
むむむと悩む間、「うわ! 立ち止まるなよ!? 赤信号だからな!?」と手を引かれる。あ、あれ? 簡単、だった?
「いったぁ!」
目をぱちくりさせているとデコピンが来た。「横断歩道で立ち止まると危ないからな! 解ってんのか!?」と怒られる。解ってるに決まってるでしょうが!
私が悩んでいることなんて解らない男は「ほら、手出す。危ないから手を繋いでいくぞ」と言った。
悩んでいたことが馬鹿らしいなんて思ってないですよ!?
なんでこうあっさりやるかな!?
――手袋越しに伝わる温かさは、昔と全然変わっていないなあと思った。
言っておきますが、ニヤニヤしてませんよ?
<おわり>
きみの手を握りたい 白千ロク @kuro_bun
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