変態彼氏と甘えん坊彼女

@Calum

第1話 プロローグ

 俺はベッドの上で眠りから目を覚ます。


 起きた瞬間に、何かに縛り付けられているような感覚がする。

 別に金縛りなどではない。もっと物理的に縛られている。

 というか、最近ではよくあることなので落ち着いて布団の中を見る。


「むふふ」


 布団の中では、俺の身体にとびっきりの美少女が抱きついていた。

 普通の男の子ならここで焦ったりするのだろうか。


「また潜り込んだのか?」

「あ、おはようございます!」

「うん。おはよう」


 俺が質問すると起きたことに気づいた彼女が挨拶してくる。

 よくもまあ俺が起きないように布団に潜り込めるものだ。

 それも思いっきり抱きついて。

 俺が鈍感すぎるのか?


「それで?」

「我慢できなくなっちゃって」

「毎日我慢できていないような気がするんだけど?」

「仕方ないですね」


 俺は「はぁ」とため息をつく。

 まあいいか。

 可愛いし。


「ひゃん!」


 男子高校生の寝ているベッドに潜り込んできたのだから襲われる覚悟くらいはあるだろう。

 俺は抱きついている彼女のおしりを掴む。


「もう!急にやらないでください!」

「急じゃなければいいのか?」

「・・・まあ、時と場合によるとしか」


 少し照れながら言ってくる。

 なんだこいつ可愛いな。


「でも、私が甘えてる時にそういうのは禁止です!」

「へいへい」


 それから俺は大人しく抱き枕になる。

 彼女は俺の胸に顔をすりすりしたり、変な声を出したりして、リラックスしているのが分かる。

 なんかそんな様子を見ていたらムラムラしてきたな。


 仕方ない。これでも俺は健全な男子高校生。

 これで手を出さないというのは肉を目の前にして、何もしない腹ペコの肉食動物と同じである。


「なあ」

「なんですか?」

「ムラムラしてきたんだけど」

「朝ですよ?」

「男にはな、朝勃ちというものがあってだな、そんなにくっついてると襲いたくなってくるんだよ」

「・・・今から学校ですよ?」

「少しくらい遅れても大丈夫だろ」

「少しじゃ足りない気がするんですけど」


 まあ、実際に始めたら余裕で数時間は喰われるだろう。

 それも疲れ果てて、学校に行く気力すらなくなるレベルの。


「これに関してはおまえが悪くね?」


 こんなに無防備にくっついて、上から少しブラも見えている。

 我慢しろというのが無理な話だ。


「私は朝から甘えてるだけなのでセーフです」


 なにがセーフなんだか。


「これ以上やるなら本気で襲うぞ」

「・・・仕方ないですねぇ。また帰ってきたらお願いします」

「自分の家に帰らないのかよ」

「もう自分の家に帰っても仕方ないですし、1人は寂しいので」


 本当に寂しがりやだな。

 甘えん坊とも形容できるけど。


 少し不満そうにしながら彼女は俺から離れる。


「あーあ。無理やり剥がされたので満足できませんでしたー」


 いや、こっちも生殺しなんだけど。

 むしろ、何もさせてもらえなかったこっちの方が不満なんだけど。


 でも仕方ないか。

 朝っぱらからおっ始めるわけにもいかないし。


「夜になったらいきなり襲ってやるからな」

「その前に甘えさせてくれるならいいですよ」

「甘えさせる暇なんてないくらいにぐちゃぐちゃにしてやる」


 普通の男子高校生だったらそんなことを言わないかもしれない。

 普通の女子高校生だったらここで怯えたり、負の感情が出てくるかもしれない。


 だけど、俺たちはどっちも『普通』ではなかった。

 互いに自分は異常だと理解している。

 だからこそ上手くいっているのかもしれない。


「朝ごはん用意しますね!」


 そう言って彼女は部屋から出ていった。


 普通の生活ではないかもしれない。

 この生活が始まってもう1ヶ月か。


 1ヶ月前までは俺は『普通』になろうとしていたな。


 でも彼女に出会って変わってしまった。

 普通じゃなくてもいいと理解してしまった。


 彼女は自分の気持ちを素直に吐き出してくれる。

 それがどれだけ楽だったか。それにどれだけ救われたか。



 そういえば、初めて話した時はお互いに闇を抱えていて、それをお互いに吐き出したんだっけな。

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