真面目な人を選んだはずでした。
夕月音夢
第1話 育てる対象、間違ってます。
牧夫と音夢は、同じ会社の先輩と後輩。
社内恋愛が禁止だった時代に、一切気にもせず、規則を守らなかった2人だった。
同じ課の若いメンバーで、毎日定時に上がり、
カラオケに、ボウリングと
充実した日々を過ごしていた。
その時に恋が芽生え
牧夫と音夢は結婚に至ったのである。
音夢は、正直、もう一人の先輩スガくんと、どっちがいいか悩んだが、
無遅刻無欠勤で、真面目で、誠実そうな牧夫を選んだ。
そして、めでたく2人はゴールイン。
社内みんなに祝福され、ラブラブな新婚生活が始まった。
ワイワイ話して爆笑したり、夜食にラーメンを食べに行ったりした。
当然2人は順調に太り、ダイエットの為にプールに通ったりもした。
もともと、牧夫は競馬が好きで、土日はなると、音夢を競馬場に連れて行った。
時には丸1日滞在する事もあり、音夢は退屈で、早く帰りたかった。
音夢の姉夫婦と、仲が良くて
4人で麻雀を徹夜でしてた事もある。
妊娠中も麻雀をしていて、陣痛がきてるにも関わらず
「それ! ロン!
痛たたたたぁ~!」
いつまでするの?笑
音夢が、1人目を出産する少し前から、牧夫は体調を崩し、会社を休むようになって行った。
子供が産まれれば、元気になるかも。
という少しの期待を持ちながら。
そして、待望の長女が産まれた。
牧夫は、プレッシャーからなのか、精神的に不安定になる日が多く、
傷病手当をもらいながら、 音夢の少ない貯金を少しずつ生活費に回していた。
音夢は、泣き止まない赤ちゃんを抱っこして、必死に世話をする。
果たして、まともに寝られる日が来るのか、不安を抱えながら、半分育児ノイローゼになりかけていた。
牧夫は毎晩、泣き続ける子供を寝かせつける為に、ドライブに連れて行くという、ルーティンだけは続けていた。
しかし相変わらず、仕事には行っていない。
経済面も底を尽きてきて、音夢は不安で仕方なかった。
彼は毎日ずっと家にいて、家事も育児もしなかった。
月曜日には競馬ブックを買い、それと睨めっこして予想をする。
それ以外の時間は、当時流行っていた、ファミコンで、馬を育てるゲームをしていた。
デカイ体が
部屋のど真ん中を占めている。
音夢は、育児でふらふら。
気が狂いそうになり、
何も手伝わない牧夫にひと言。
『馬ばっかり育ててんと、自分の子供育てたらどうなん!!!』
音夢の怒りが、爆発した!
という、お話。
真面目な人を選んだはずでした。 夕月音夢 @tumu_nemu
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