クラスで俺をいじめるヤンキーに彼女をNTRれた。彼女を奪われた怒りから強引に美少女をナンパする奴らに八つ当たりで初めて喧嘩して勝った俺。すると、人生で初めて美少女達からのアプローチを手に入れた

白金豪

第1話 NTR &人生初の怒りに振り回された喧嘩

 俺の名前は濱野清春。地元の大都高校の2年生だ。


 今日は土曜日ということもあり、地元のショッピングモールで映画を見た。


 夕方の世界の中、自宅の帰路に就く。


 俺は、しばらく1本道を進む。


 地元であり、家からも結構近いラブホが見えてくる。


 ラブホなため階層も高く、かなり目立つ建物である。


 そんなラブホに学生らしきカップルが、仲良く密着しながら、建物の入り口に進む。


 俺は、そのカップルの顔を見てしまった。瞬時に表情が固まり、立ち止まってしまう。


 八代百合。俺と同級生であり、同じ学校にも通い、彼女でもある。


 黒髪のロングヘアに、整った目や鼻の形に、日本人特有の黄色の肌、薄い唇など、整った顔立ちをした美少女だ。


 1年生の頃に同じクラスになり、一目惚れし、奥手の俺が何度もアプローチした結果、2年生の春に付き合えるようになった。


 付き合い始めて3ヶ月目に突入している。


 そんな彼女が、ヤンチャでイカつい金髪の男の腕に抱きついて、ラブホに入ろうとしている。


 しかも、イチャイチャして隣を歩く男は、クラスでも俺を暴力や暴言でいじめている大泉佑哉だった。


 大泉は短い金髪に、高身長のちょい悪のイケメンである。


 クラスの男女と仲が良く、陽キャでクラスの中心ということもあり、俺のような弱い立場の陰キャを見下している。


 ストレス解消で仲間の前で見せびらかすように、暴力を振るうことも多々あった。


 俺は陽キャの大泉にビビって、暴力を振るわれても、決してやり返さなかった。


 そんな大泉が、彼女と密着してイチャイチャしている。しかも、ラブホまで入ろうとしている。流石に見逃せない。


「ちょ、ちょっといいかな? 何で2人は、そんなイチャイチャしてるの? 付き合ってなんかいないよね? 」


 俺は勇気を振り絞って、恐る恐るカップルの後ろから声を掛ける。


「あ? 」


 大泉が不機嫌そうに振り返る。イライラした顔、口調に直面するだけで、心臓が大きく跳ねる。心の中に恐怖が入り込む。


「は、濱野君!! 」


 八代さんも大泉を追うように振り返る。すぐに俺の顔を認識し、驚嘆の声を漏らす。


「八代さん。おかしいよね? 俺達、付き合ってるんだよね? 何で他の男と腕組んでるの? しかも、ラブホにまで行こうとして」


 俺は複数の疑問を彼女の八代さんに投げる。全てを彼女の口から聞き出さないと気が済まない。でないと納得できない。


「ち、違うの! こ、これはね。何ていうか…」


 八代さんは気まずそうに俺から目を逸らし、黙り込んでしまう。


 実に腹立たしい。俺の疑問への回答にもなっていない。怒りが心の底から無数に浮かび上がってくる。


「どういうこと? もっと詳しく教えて欲しいな」


 俺は理由を聞き出そうと問い詰める。決して逃さない。


「おい! うるせえよ! 」


 俺の言動が気に食わなかったのか。大泉が俺を力でねじ伏せようと胸ぐらを強く掴んでくる。


「ぐっ。…うぇ」


 俺は強く首を圧迫され、情けない声を漏らしてしまう。さらに、過去の暴力によって蓄積された大泉に対する恐怖から何もできない。抵抗すらできない。ただ弱々しい顔と情けない負け腰の態度しか見せられない。


「お前、調子に乗るなよ? 」


 大泉が、さらに腕に力を込める。


 俺の首の圧迫感が増大する。


 俺は表情を歪めて、苦しさに耐えながら、否定するように首を左右に振るしか出来なかった。


「おい、百合。こいつに、お前の気持ちや真実を正直に伝えてやれよ。全然遠慮しなくていい。何かあれば、俺様が暴力で守ってやる」


 大泉が後ろの百合に目を向けずに、命令口調で伝える。


「で、でも」


 一方、八代さんは戸惑った表情を見せる。躊躇って一歩踏み出せないように見える。


「安心しろ。俺様が付いてる。だから、解き放ってしまえ。百合の本音をな」


 大泉が振り返り、八代さんに視線を向けた上で、優しく落ち着いた口調で諭す。


「う、うん! 」


 八代さんは、安心したように顔を上げ、前向きな返事をする。声には明るさが宿る。


「ごめんね。濱野君。あたし、もうダメなの。濱野君のことなんか、ちっとも考えられない。心は完全に佑哉君に暴れてしまったの」


 八代さんが、開き直ったように理由を語り始める。俺への疑問に答え始める。


「佑哉君の方がね、濱野君よりカッコよくてイケメンだし、余裕もあるし、デートでもリードしてくれるし、レディーファーストだし。それにね。…エッチなことも凄い上手なの。凄い気持ちよくて。もう佑哉君から受ける、あの快感には抗えないの」


 八代さんは、俺の感情や心の状態など、お構いなしに、俺と大泉を比較し、優れた点を強調する。大泉の凄さだけが際立ち、俺は劣った存在だと言葉から伝わる。


「だからね。あたしと別れて欲しいの。今日でカップルは解消。あたしは、佑哉君のものになる」


 八代さんは、ニコッと幸せそうな満面の笑みを浮かべる。その笑顔が俺の視界に映る。


「はっはっはっ!! だってさ!! 最高だぜ百合!! これで、お前の気持ちが、こいつに伝わったな〜〜。やったじゃないか!!! 」


 大泉は俺の胸ぐらから雑に手を離す。突然の別れに本心状態で、地面に呆気なく崩れ落ちた俺など目もくれない。


 嬉しそうに八代さんとハイタッチを交わす。


 八代さんも笑顔で大泉のハイタッチに応える。


「ということで。悪いな。今から、百合は俺様のものだ。これから、百合と気持ちいいことをホテル内で交わしてくるわ。すっげえ楽しんでくるから。今日は色々とありがとな。元カレ君」


 大泉は八代さんの腰に腕を回す。


 八代さんは恥ずかしそうに頬を赤く染め、大泉に身体を預ける。


 さらなる密着が完成する。


「これから、セックス楽しんでくるぜ! はっはっは! は〜はっはっはっ〜〜」


 大泉は高らかに笑いながら、八代さんと共にラブホの入り口に足を向ける。


 俺だけをラブホ前に残し、高らかに笑い続けながら、ラブホの中に消えていった。


 そんな俺を嘲笑う大泉の声が、未だに崩れ落ちた状態の俺の耳に、痛いほど響き渡った。


「…」


 大泉と八代さんが、ラブホに入ってから10分ほど経過した。


 ようやく俺は地面から立ち上がることが出来た。


 俺は死んだ目で呆然としながら、何とか力の入らない足で進む。そのまま気力が皆無ながらも、自宅の帰路に就く。


 何も考えられない。脳が支配するのは、彼女の八代さんを大泉に奪われたこと、ラブホに入って行ったこと、大泉のバカにした大笑いの3つである。


 これらは、決して離れない。今すぐにでも記憶から消去したい。


「ねぇねぇ。そこの3人の可愛い子ちゃんさ〜、俺達と一緒にに遊ばない〜? 」


 最悪のタイミングでナンパする2人の男達とすれ違う。見たからに高校生ではなく、大学生に見えた。


「結構です」


 美少女の3人の内の1人が、代表してナンパを断る。


「そんなこと言わないでさ〜。損はさせないよ〜」


 しつこくナンパを続ける男達。


 はぁ〜。断ってるだろうが!!


 普段は干渉しないのだが、今日は機嫌が悪かった。怒りが抑えられずに、自然とナンパ男達の方に向かっていた。


「おい。1回断られただろ? しつこく誘うのやめろや」


 俺は怒りの感情を隠さずに、言葉に載せてナンパを注意する。

 

「「あ? なんだ。お前? 」」


 俺の口調に敏感に反応する男2人。振り返り、イラついた口調で俺を睨み、分かりやすく威嚇する。


 こういう奴らは、本当に同じタイプなんだな。ムカつく! ムカつく! まじでうざい!!


「聞こえなかった? ナンパに断られたんだから諦めろって言ってんの」


 怒りの補正が功を奏し、ナンパの男達の威嚇にも決して動じない。ナンパの男達は、大泉と似たちょいワルの風貌で、背丈も体格も大泉よりも明らかに優れていた。でも、怒りという薬で一歩も引かずに主張できた。

 

「さっきから聞いてたらよ〜。お前、言い方が舐めてねぇか? ムカつくわ〜。それに、お前には、関係ねぇだろうがよ! 」


 ナンパ男の1人が、怒りに任せて、俺に殴り掛かってくる。歯を食い縛って、拳を握り締めて、振り上げてくる。


 俺は男の全力のパンチを両腕のガードで受け止める。


 大きな鈍い痛みが、両腕に生じる。


 多少の痺れがあるが、動かせないほどではない。


「少しはやるようだな〜! 」


 男は追い打ちを掛けるために、2回目のパンチを繰り出す。


 俺は男がパンチを繰り出す前に、虚を突くように、狙って股間を全力で蹴り上げる。


「…はぅ…。はあぁぁ〜〜」


 金的を受けた男は、先程までの威勢と真逆の情けなく弱々しい声を漏らし、涙目で股間を両手で押さえながら、地面に崩れ落ちる。


「いってぇ〜。いってぇよ〜。やべぇ〜よ〜〜」


 男は頭を和らげるために、地面の上で幼虫のように気持ち悪い動きをしながら、身体をバタバタと上下左右に動かす。目の前で見ると実にみっともない。


「お、おい。だ、大丈夫か! 」


 仲間の男の1人が金的を受けた当人に駆け寄る。

 

「大丈夫じゃねぇよ〜。絶対にキンタマ無くなったわ〜。か…感触がねぇんだ〜〜」


 金的を受けた男は、顔中に大量の汗を流しながら、何とか仲間の心配に歯切れ悪く答える。


 未だに股間を押さえ、時折さすっていた。


 俺はチャンスを逃さないために、仲間を心配する男の背中に膝蹴りをお見舞いする。


「ガハッ!? 」


 油断してた仲間の男は、汚い唾の雫を吐き出し、金的を受けた男の上に倒れ込む。

 

「いってぇ〜〜!? 」


 金的を受けた股間に仲間の体重が全て掛かり、悲鳴のような叫び声を上げる男。


 痛みに耐えられないように、股間を押さえながら、バタバタと仲間の下で上下左右に暴れる。


「はぁ。少しスッキリした」


 俺はストレスと怒りが多少なりとも和らいだことを自覚し、そのまま用が済んだので立ち去るとする。


 一方、ナンパを受けていた3人の女子は、目の前で繰り広げられた暴力の光景に目を奪われて固まっていた。

 

 何も出来ず、発せず、ただ黙って現状を無理やり把握することしかできないだろう。


 まあ、こんなところでいいか。

 

 後は3人で何とかするだろう。多分。


 こうして俺は、ダメージを受けた箇所を手で押さえて倒れ込む男2人と、目の前の出来事がショッキングで動けない女子3人を残して、再び帰路に就いたのだった。

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