宇宙のハムスター

@nooru0o0

ハムスターと私

今から100年ほど前、人類はワープ技術の開発に成功した。このブレイクスルーによって、太陽系を飛び出し、膨大な資源を手に入れることが可能になった。

しかし、資源を運ぶには船も乗組員も圧倒的に不足していた。

輸送船ならAIに任せ、人間は管理者として1人置くだけで十分だろう。

私の乗っている「ハムスター級輸送艦」は、まさその考えの影響を受けて生まれた。

名前は可愛いが、100年前の設計にもかかわらず、今も多数が現役で活躍している優秀な輸送艦だ。

形は長方形でハムスターにはとても見えない。

そんな船体には、微かに聞こえる機械の音、ランプの光、空調の微振動、航行を管理するAI、それと唯一の人間乗組員として、機関の点検や監視を繰り返す、私しかいない。

操縦はAIに任せ、私はたまに機関室を確認するだけだ。

コロニーから採掘スポットまではワープでおよそ30分。

船内での時間はほとんど待つ時間だ。

ハムスターのように資源を積み込み、目的地で吐き出す。

事故の話は聞いたことがないし、自分には縁のないことだと思っていた。

宇宙の静寂に身を委ねると、時間の感覚が少しだけずれる。

窓の外には星が点々と散らばり、遠くの採掘船の光が流れていく。

見慣れた光景でも、どこか遠い世界の風景のように感じることがある。

そんな時、私は自分がこの宇宙の片隅で、小さな役割を果たしているだけなのだと感じる。

船での日常は安定している。

少なくとも、事故や大きなトラブルとは無縁だと思っていた──。



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