忘れた日から世界が動かない

ゆーか

プロローグ 黒い雨の記憶

黒い雨が降っていた。

空は雲で覆われていて、太陽の輪郭さえ分からなかった。

その場所は静かすぎた。耳鳴りのような沈黙が、肌に刺さる。

誰かが泣いているような声が、遠くから聞こえた気がする。けれど、それが誰の声なのか分からなかった。

足元には、割れた鏡。

映るのは、血まみれの手と――ぼやけた、自分の顔。

「……どうして、忘れてしまったの……?」

そう呟いたのは、女だった。

彼女は涙を流しながら笑っていた。壊れたような、美しい笑顔で。

「何度繰り返しても、あなたは――」

その言葉の続きを、僕は聞く前に、世界がノイズのようにざらついて、

そしてすべてが白に塗り潰された。





――――――――――――――――――――

1月末で完結予定です。

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忘れた日から世界が動かない ゆーか @21Yuka51

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