【プロローグ:運命の四季が訪れる朝1】
天皇寺家の朝は、いつだって華やかで、少しばかり騒々しい。東京の郊外に位置する広大な敷地に建つ豪邸は、まるで映画のセットのような佇まいだ。白亜の壁に囲まれたエントランスホールは、天井が高く、シャンデリアがキラキラと朝陽を反射している。庭園はまるで公園のように広く、手入れの行き届いた芝生の向こうに噴水が優雅に水を噴き上げ、まるで「私たちはお金持ちですよ」と主張しているかのよう。
実際、天皇寺家は世界的大企業のトップに君臨する一族で、父親の天皇寺朝日がその社長を務めている。朝日社長の采配の下、会社はグローバルに広がり、株価は常に上昇気流に乗っている。そんな一家の朝食タイムは、家族の絆を確かめる大切な時間――のはずだったが、今日に限っては、少し様子が違っていた。
霧斗はいつものように、ダイニングルームの大きなテーブルに座っていた。17歳の高校2年生で、天皇寺学園の生徒会役員も務めている彼は、黒髪をきっちりセットし、制服を完璧に着こなしている。頭脳明晰で、気配り上手、しかも紳士的――まさに完璧な後継者候補だ。ただ、本人はそんな自分の立場を、時々「面倒くさいなあ」と心の中で呟いている。向かいに座る妹の雨野は、14歳の中学2年生。ツインテールの髪を揺らしながら、スマホをいじっている。母親の夜音は優雅に紅茶を啜り、父親の朝日は新聞を広げて株価をチェック中。家族の日常風景だ。
「ふう、今日も学校か。霧斗兄さん、今日の弁当は私が作ったよ! 特製の卵焼き入りだよ、ふわふわに仕上げたんだから!」雨野が元気よく声を上げ、霧斗の前に弁当箱をドンと置く。彼女は霧斗のことが大好きで、いつも兄を甘やかそうとするタイプだ。
霧斗は微笑んで弁当箱を受け取り、「ありがとう、雨野。君の卵焼きは世界一だよ。昨日も完食したけど、今日も楽しみだな」と優しく返す。内心では「また卵焼きか……栄養バランス考えた方がいいかな」と思いつつ、妹の笑顔を守るために口を閉ざす。気配り上手とはこういうことだ。
母親の夜音が優しい声で割り込む。「あら、雨野ちゃんったら。霧斗の体調管理は大事よ。でも、朝日さん、あなたも少し家族の時間を大切にしたら? 新聞ばっかり見てないで。」夜音は元モデルで、今も美しさを保っている。朝日の妻として、家庭を支える影の功労者だ。
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