『主人公』とは果たして何をもって『主人公』なのか? エリスと魔王の旅を覗けば、その答えの一つが見えてきます。
――主人公は魔王と戦った勇者。
――その強さ故に、魔王の討伐後に後々の火種になると考えた王によって処刑されそうになる。
己を擦り減らして魔王と戦い続けた勇者の人々の安寧を希う気持ちや、仇敵だった魔王にすら慈悲の心を向けるその高潔な精神も十分凄まじいですが、王が勇者に処刑を宣告する瞬間や、その後の扱いを経ても反転するどころか表面上は傷一つつかないように見えるのは最早異常と言えます。
しかし、この異常性がこのテクストの主人公が勇者エリスである所以なのではないかと思います。
「誰かを救うために、己の身を犠牲にしてでも前に進む道を選べる者。例えどんな困難が待ち受けていたとしても怯まずに自分が決めたことを成し遂げようとする者」
そんな主人公であるエリスと、彼女の仇敵だった故にエリスの良き理解者となった魔王がどんな旅をして、どんな結論を出すのか、今後の展開が楽しみなテクストです。
……とかつてどこかでレビューした記憶があります。
あれから時が経ち、エリスと魔王の旅は今日、終着点に辿り着きました。
旅の中で様々な人と出会い、繋げていった一人と一匹。エリスと魔王の決着が奇跡にも等しいものになったのは、エリス達が紡いだ絆という名の種が芽吹いた結果だったのでしょう。浅い言葉ですが、あの結末を読んで感動しました。きっと皆さまも感動すると思います。気になった方は是非お読みください。
主人公には先述したものの他に、もう一つ主人公を主人公たらしめる要素があると思います。
「人と人を繋げる才能。人との関わりを原動力に物語を動かすもの」
たった一人で魔王と戦ったエリスの物語が、「永劫回帰の儀」の後に始まったのはある意味必然だった……のかもしれません。
観葉植物の「勇者論」、私から見れば「主人公論」。もし興味を持たれましたら是非是非ご一読を!
かつて世界を救った勇者と、彼女に敗れた魔王。
脅威が去った世界は、勇者にも優しくありません。
飢えと孤独の中でも誰をも憎まず、ただ世界の平和を願い続ける少女。
その心の奥底で、勇者に寄生するように潜んだ魔王は、彼女の揺るがぬ光に困惑し、やがて変わり始めます。
まだ、読み始めですが、2人に絆が生まれ、優しい展開をしていきます。
猫の姿で蘇った魔王は、世界から不要とされた者同士として出会います。
個人的には”猫”というのも好きです(笑)
戦いの果てに残ったのは、憎しみでも栄光でもなく、静かな旅路と小さな絆。
これは、世界に捨てられた二人が、もう一度生き直すための優しい物語です。
これからも読んでいきますが、ぜひお薦めしたい作品です。
この作品の一番の魅力は、あまりにも清らかな勇者の心と、その強さの根源です。美しい心の描写がこんなに素敵な小説は珍しいです。序盤で大きな事件が起きて派手なことは起き、そこでも勇者の美しさは描かれますが、全編通して、それが多方向から表現されます。私はこの勇者に(人として)惚れました。
そして、この勇者に惚れたのは私だけでなく、魔王様もやがて惚れてしまうのです。とはいえ愛とか恋とかではなく、武人として。
そして、勇者と魔王は二人で、勇者ではなく、魔王ではなく、旅をします。まぁまぁ珍道中でコミカルです。楽しいです。お勧めします!