いるの?いないの?
@nooru0o0
いないよ
私は現代社会を生きている。
オカルトなんて、非科学的なものは存在しない。
……そう思っていた。
世界が暗闇に包まれるまでは。
何も見えない。
暗いだけだ。
目を閉じて呼吸を整える。
耳もそっとふさいでみる。
自分の呼吸?いや心臓の音だろう。
それとも暗闇のどこかからか。
何か、聞こえる……いや、そんな気がするだけだ。
観測されないものは、存在していないわけじゃない。
ただ、確定していないだけだ。
量子力学?だったか?
そうだ。
私は何も聞こえないし、見えない。
だから、何も存在しない。
オカルトなんて信じない。
でも、ぎゅっと目を瞑って、震えている自分がいる。
観測しなければ確定しない。
確定しなければ現実にならない。
……怖くはない。
そう現実逃避する自分がいる。
何も居ない。
そう信じようとしている。
でも、本当に?
音は消えない。
輪郭も色も形も分からない。
ただ、そこに「ある」としか思えない。
どこから来たのか。
どこにあるのか、分からない。
耳を澄ませば、微かに声が聞こえる気がする。
考えるな。
意味を与えたら、それは「何か」になる。
だから考えない。
観測しなければ確定しないはず……。
存在するかもしれないものを、私たちはずっと前から知っている。
映画や小説で見た、名前のない“それ”。
思い浮かべた瞬間、それは確定してしまう――
いやだ、忘れたい。
誰もいないはずの空間。
背中の感覚。
耳に残る微かな音。
さっき思い浮かべたものが、なぜか頭から離れない。
もし、見えなくても、聞こえなくても、存在が未確定なものが本当に居て。
もうそこに来てたとしても。
……そんなの、信じたくない。
答えを出さなくても、恐怖だけは残る。
耳を澄ませば、何かが近づいて来る気がする。
目をあけると、暗闇の端が、ほんの少し揺れたような気もする。
耳を塞ぎ、目を閉じたまま、ただ震える。
信じないけれど、そこにある。
もう分かっている。
でも、考えない。
ねえ――
「いるの?」
「いないの?」
その声は、確かに暗闇のどこかから聞こえてくる。
私に、問いかけている。
いるの?いないの? @nooru0o0
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