第1期 第7話 『序列の真理と神の残影』


【場所:ノモンホ要塞・中庭】

(激戦を終え、焚き火を囲む聖サンクチュアリ軍の兵士たち。その輪の中心には、義足を外し、手入れをする老兵・のあさんの姿があった。そこへ一人の若い兵士が、堪えきれないといった様子で問いかける)

若い兵士:のあさん。……一つ、聞いてもいいですか。

のあさん:……何だ。

若い兵士:どうして、すぎもんさんが「団長」なんです? 確かにさっきの技は凄かった。でも、かなる副団長の方が、誰よりも早く駆けつけて、誰よりもみんなを救ってる。正直、かなる様が団長であるべきだと、みんな思ってます。

のあさん:……(焚き火を見つめ、静かに息を吐く)お前たちは、この世界における「強さの序列」が、単なる優しさや手柄で決まると思っているのか。

若い兵士:え……? 違うんですか?

のあさん:いいか、よく聞け。この世界での序列は、その魂が宿す**「能力の深度」**に比例する。……すぎもんが団長である理由は、奴の【虚空】が、この世界の理(ことわり)を根底から覆し得る「最果ての力」だからだ。

(のあさんは、地面に図を描きながら説明を続ける)

のあさん:我々が今、なぜこうして戦っているか知っているか? 幽気やなつ、あんな小悪党を倒すためではない。……古(いにしえ)の予言にある、**『破壊の王・太陽神』**の再臨を阻止するためだ。

若い兵士:太陽神……。世界を焼き尽くし、全てを無に帰すという、あの伝説の?

のあさん:そうだ。その神の力……事象を自在に書き換え、死すら無効化する絶対的な「権能」に対し、唯一抗える可能性があるのが、全てを消滅させる【虚空】なのだ。かなるの力は確かに素晴らしい。だが、奴の力は「この世界の延長線上」にある。すぎもんの力は、その「外側」にある。

聖軍兵士B:でも、のあさん。すぎもんはミスばかりで、今回も味方を……。

のあさん:……それが奴の呪いだ。強すぎる力は、それ自体が周囲を傷つける。すぎもんはその重圧を一身に背負い、あえて「泥を啜る道化」を演じている。……お前たちには、あの男が孤独に何を斬り裂いているのか、まだ見えておらんのだ。

(その会話を、物陰で聞いていたかなる。彼の顔にはいつもの笑顔はなく、冷酷な光が宿っている)

かなる:(……最果ての力、か。のあさん、あなたは相変わらず僕を「外側」に置きたがるね。すぎもん君が団長? ……ふふ、滑稽(こっけい)だよ)

かなる:(……太陽神、ね。もしその神が、君たちのすぐ隣で微笑んでいたら……君はどんな顔をするのかな、のあさん?)

(かなるは表情をサッと聖者のそれに切り替え、兵士たちの前へ姿を現す)

かなる:みんな、のあさんの言う通りだよ。すぎもん君は、僕が持っていない「覚悟」を持っている。だから僕は、彼を支える副団長でいたいんだ。……さあ、夜は短い。明日の進軍に備えて休もう。

(かなるの謙虚な言葉に、兵士たちは再び「やっぱりかなる様は謙虚で素晴らしい」と心酔する。のあさんは、それ以上何も語らず、ただ沈黙して焚き火を見つめていた。その瞳には、かつて自分を闇に葬り去った「太陽の如き残酷な光」の記憶が宿っていた――)

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