俺ファミ

ゆう

第1期1話 道化師の帰還(ボイド・ジョーカー・リターン)

【場所:雨の要塞都市・ノモンホ前線】

(土砂降りの雨。聖サンクチュアリ軍は、ノモンホを占領する幽気率いる軍勢の猛攻に晒されていた。最前線では、義足の老兵・のあさんが鎖を操り、必死に敵を食い止めている)

なつ:ひゃははは!見ろよ、あのジジイの無様な姿!片足がないから踏ん張りが利かねえなぁ。おい、のあさんよぉ!その義足、薪(まき)にでもして暖まらせてやろうか?

のあさん:……黙れ、小僧。わしの鎖が届く範囲に、貴様のようなゲスを通しはせん。

なつ:けっ!強がりやがって。おい、野郎ども!あそこに捕らえた女兵士たちを並べろ。すぎもん!お前、こいつらがどうなってもいいのか?

(前方の泥濘(ぬかるみ)の中で、一人刀を構える男・すぎもん。彼は無言のまま、冷たい雨に打たれている)

すぎもん:……離せ。彼女たちは戦闘員じゃない。

なつ:嫌だね!お前がその剣を捨てて、俺の靴でも舐めたら考えてやるよ。ほら、どうした「道化師」さんよぉ!

すぎもん:……(低く構え、気力を練る)

かなる:そこまでにしようか、なつ君。

(後方から、後光が差したかのような爽やかな笑顔で、かなるが歩み寄ってくる。周囲の兵士たちが一斉に活気づく)

聖軍兵士A:かなる様!副団長がいらしたぞ!これで勝てる!

かなる:みんな、苦労をかけてごめんね。すぎもん君も、一人でよく耐えてくれた。君の優しさは僕が一番よく分かっているよ。

すぎもん:……かなる。お前は本陣にいろと言ったはずだ。

かなる:そうもいかないよ、仲間が傷ついているんだ。ここは僕が引き受ける。すぎもん君、君は右翼の援護に回ってくれるかい?

すぎもん:……チッ。分かった。

(すぎもんは右翼へ走り出す。かなるが指をパチンと鳴らすと、眩い光の衝撃波がなつを襲う)

なつ:ぐわあああ!?何だこの力は……!

かなる:なつ君、女の子を泣かせるのは感心しないな。次は容赦しないよ?(慈愛に満ちた笑み)

聖軍兵士B:おおお!一撃だ!やはりかなる様こそが我らの希望だ!

(その喧騒から離れた高い丘の上。大きな岩に腰掛け、リンゴを齧る大男・ゆうにくと、隣で爪を研ぐささの姿がある)

ささ:……ねえ、ゆうにく。あっち、また始まったよ。あの「完璧超人」のヒーローショー。

ゆうにく:……うほ。

ささ:ふふ、相変わらず言葉数が少ないね。ま、うちらには関係ないし。どっちが勝っても、美味しいお酒が飲めればそれでいいんだから。

ゆうにく:……(無関心に戦場を見下ろし、欠伸をする)

(一方、右翼に回ったすぎもんは、敵の増援を一人で斬り伏せていた。しかし、彼が決定的な一撃を放とうとした瞬間、足元の地面が不自然に輝く)

すぎもん:なっ!?(足元で小さな爆発が起き、体勢を崩す)

(すぎもんが放った虚空の斬撃は、軌道を大きく逸れ、後方から支援に来ていた味方の「蒼司」の腕を掠める)

蒼司:ぐっ……!?すぎもん、貴様、何を……!

すぎもん:違う!今のは……!

かなる:助けに来たよ!……ああ、なんてことだ。すぎもん君、焦りすぎだよ。蒼司君、今すぐ僕が治すからね!

(かなるが蒼司の手を取り、眩い光で傷を癒やす。周囲の兵士たちがすぎもんを白い目で見る)

聖軍兵士C:おい見ろよ、すぎもんの野郎、味方を斬りやがったぞ。

聖軍兵士D:かなる様がいなかったらどうなっていたことか。やっぱり、あの「道化師」は信用できねえ。

すぎもん:……(何も言い返さず、血の付いた刀を握りしめる。その視線の先で、かなるは完璧な聖者の笑顔で、負傷兵たちを抱きしめていた)

(雨は止む気配を見せず、すぎもんの孤独な背中を叩き続ける――)

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